先月6月、闘病体験共有サイト“CaringBridge”が開設10周年を迎えた。米国ミネソタ州を本拠とするこのサイトがローンチされたのは1997年。以来、患者と家族・友人のコミュニケーションを取り持つ無料サービスとして支持され、これまでに63000ページの患者ページを収録している。闘病体験共有サイトとしては、おそらく最初の世代に属するサイトである。 続きを読む
月別アーカイブ: 2007年7月
活況を呈する米Web医療情報提供サービス
comScore社発表(5月21日)の調査によれば、米国では2007年第一四半期において月平均5,530万人がオンライン医療情報サービスにアクセスしている。(ユニークユーザー数)。この数字は米国Webユーザー全体の31%に達し、昨年同期比で12%増加している。 続きを読む
Health2.0的思考 (1)
先週、筆者が愛読しているスティーブ・ルーベルのブログ「Micro Persuasion」に、”Walled Gardens and the Lesson for Social Networks”というエントリーがポストされた。SNSを「ウォールド・ガーデン」つまり「塀で囲まれた庭」と見立てた論考である。
「ニューヨークにグラマシーパークという有名な公園がある。これは非常によく手入れされた、最も美しい公園として有名である。だがこの公園は壁で囲まれ、周辺に居住する富裕な住民だけが中に入ることが許されている。もしも、この公園をニューヨーク市が買い上げ、一般に公開したらどうなるだろう?。たくさんの人で満員となり、汚れ、治安は劣化し犯罪は増加し、あたりかまわず落書きだらけとなり果てるだろう」。 続きを読む
医療価格の透明性
医療改革論議において「医療の透明性の確保」は常に指摘されてきた。インフォームドコンセントや医療機関のアウトカムデータ公開などは、たしかに透明性に直結する大切な問題ではあるが、患者側からすればもう一つ切実な問題がある。それは医療価格の透明性である。事前見積もりである。病状や治療方針を事前に知ることは当然だが、患者にとって「一体、この治療を受けると医療費がいくらかかるのか?」が本当は大問題なのである。だが、現実には事前見積もりを提示してくれる医療機関はほとんどない。患者ニーズと医療実態が、ここでも著しく乖離しているのだ。 続きを読む
eメール医療相談サービスは診療所の収入減になる?
米国の大手健康保険会社カイザーパーマネンテ発表の調査結果によれば、eメールで医師から医療相談サービスを受けている患者はあまり診療所へ来院せず、診療所へ電話もかけないことがわかった。
カイザー社では数年前から実験プロジェクトとして、オレゴン州とワシントン州において、11万2千人の保険加入者に対しeメール医療相談サービスを実施してきた。その利用実態を調査したところ、eメールで医師と相談している患者は、診療所へ行く回数が7%-10%低下し、電話をする回数も14%低下していることがわかった。 続きを読む