TOBYOプロジェクトの新展開

ずいぶんしばらくぶりです。ご無沙汰しています。皆さん、お元気ですか。
振り返ってみると、なんとまるまる二年間も当ブログを放置していたことになります。しかし、ご安心ください。当方TOBYOプロジェクトは健在であり、間違いなく前進しており、この間も様々な成果を上げてきています。
では、「かくも長き不在」は何故か?と問われれば、ここニ三年急に進展してきたネットの変質に嫌気がさしたとでも答えることになりそうですね。いずれきちんとした形でこれについては説明したいと考えています。とにかくブログやTwitterで発言することが億劫になってしまいました。Facebookは身辺雑記を中心にときどき投稿していましたが、かつてのように「ソーシャルメディアで情報共有万歳!」みたいな能天気な発言をする時代でもなくなりました。
この現実をどう受け止めてどう対処していくか、いつまでも口をつぐんでいるわけにもいかないので、まづはブログを再開し、少しづつ考えをまとめていきたいと思います。

医療Webの動向

最近、医療に関連するネット動向を見ていて感じるのは、過剰なリゴリズム(厳格主義)が跋扈し始め、自由な発想や発言や提案の機会がどうも委縮し始めてきたのではないかという懸念です。端的に言って「正しい医療情報とは何か」という古典的な問題設定を言わばエビデンス原理主義のもとに振りかざし、「正しくない」情報を探し出し糾弾するみたいな風潮が強まっているような気がします。はっきり言って、現下の医療をめぐるネット状況は反動期といえるし、Web2.0以前の過去へ後退しているとも思えます。今から20年ほど前のネット黎明期における「インターネット医療」に関する、硬直的な古典的言説がリバイバルしているのを今私たちは目撃しているのかもしれません。

エビデンス原理主義

とはいえ、「エビデンスに基づく科学的な医療情報」について問われれば、別に異論もありません。しかしエビデンスにせよ科学にせよ、それらは現時点での相対的な正しさを示すものではあれ、未来永劫にわたって絶対的な正しさを保証するものではありません。現代医療はまだまだ発展途上にあり、すべての生命現象を解き明かすに至っていないのですから、その「正しさ」も相対的なものであることを謙虚に認めなければなりません。現時点で「正しい」とされる医療情報が10年後も正しいとは、誰も言えません。真に科学的な態度とは、自己の知識を絶対視するのではなく、むしろ自己の不明を謙虚に認識することではないでしょうか。科学の進歩もそのような「無知の自覚」から創造されるものだと思います。

患者生成ドキュメントすなわち闘病記についても、そのような「エビデンス原理主義」陣営から見当はずれの批判を浴びているようです。患者が医療の素人であることは当然であり、その闘病記録も不正確さや誤りがあることはあたりまえです。それを専門的見地から批判しても何の意味もありません。しかし闘病体験に起因する感情、欲求、心の動きは患者にしか表現できないものであり、それらに耳を傾けて患者ニーズをくみ取り、医療を改善していく努力は今後も続けていかなければなりません。

オープンイノベーションの始動

これから少しづつご紹介していきますが、TOBYOプロジェクトは今年、製薬企業と共同開発プロジェクト契約を結び、新たなるオープンイノベーションのステージへ進むこととなりました。私たちは患者ドキュメントを有効活用する世界初の諸ツール・システムや患者満足度指標(PSI:Patient Satisfaction Index)の開発に取り組み、患者視点で医療を再定義することを目指していきます。

皆さん、良いお年をお迎えください。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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