闘病記は「患者-医師」関係を毀損するか?

最近、多数の方々とお目にかかり、当方のTOBYOやHealth2.0や闘病サイトについて訊ねられたり、あるいは意見交換したりする機会が増えてきている。TOBYOは先月ベータ版を公開したが、まだバーティカル検索「TOBYO事典」が限定公開の状態であり、こちらから一切正式の告知活動はしていない。にもかかわらず、多くの方々に関心をもっていただいて訪問を頂戴していることはありがたいことはもちろんだが、正直のところ、当方にとっては予想外の展開でもある。

さて、それら意見交換の中、特に闘病サイトに関して最近よく異口同音に質問されるのは、「闘病サイトによって、患者と医療者の関係が悪化する危険性」という問題に関してである。当方は、当然、闘病サイトの役割をこのブログで積極的に評価して来ているが、このような「問題」を指摘する視点もまた存在するのかと、少々面食らいつつ、その意外感は大きい。 続きを読む

パーソナル医療情報検索

 TOBYO_Search

TOBYOでは、闘病記だけを検索対象とするバーティカル検索機能「TOBYO事典」を提供している。これは現在、「がん、良性腫瘍」分野を対象として様々にテストをしているが、近く全病名へと検索対象を拡大する予定だ。このようなバーティカル検索機能は日本語「闘病ネットワーク圏」を隅々まで可視化し、必要な体験情報に迅速に到達するためになくてはならないものだ。

ところで闘病者が医療情報を収集する場合を考えると、これら闘病体験情報に加えて、やはり専門的な最新の医学情報も必要となるだろう。そしてこれも闘病体験情報と同じように、Googleなど汎用検索エンジンを使うと、健康食品の売り込み情報など大量のノイズの中から、信頼のおける情報を見つけ出すのが大変だ。そう考えると、ここでもまた検索対象を限定したバーティカル検索機能が必要になるのかも知れない。 続きを読む

「BB Watch」でTOBYOを紹介

BBWatch

Impress Watch「BB Watch」の連載コラム「下柳泰三の今週のヨカッタ!!」で、TOBYOが紹介された。ツールとしてのTOBYOのツボを、非常に要領よく押さえた記事を書いてもらったと感謝している。どうもありがとうございました。

以前からこのブログで書いてきてはいるが、この記事を読みながら、改めて「闘病ネットワーク圏のツール」というTOBYOの立ち位置を再確認させられた。つまり、「ネット全体に広がる一つの闘病コミュニティ」というものが既に日本語ネット圏には存在しており、それを効率よく、便利に、みんなが使うためのツールとしてTOBYOがある、ということである。

われわれは、「ネット上の闘病記」つまり闘病サイトと、それらによって形成されるミクロコスモスである「闘病ネットワーク圏」の豊かな可能性にこだわっている。その可能性は、決してリアルの「闘病記」やリアルの「患者会」に代替されたり、還元されたりするようなものではない。それらの可能性は、代替不能な独自性として理解すべきものなのだ。

話はとぶが、米国Facebookは「NetOS」をめざし「最大のプラットフォーム」をめざしているらしい。だがそれは、結局、実現不可能だろう。なぜなら、われわれの眼の前には「インターネット」という「唯一にして最大のプラットフォーム」がすでに存在するからだ。それと同じように、日本のわれわれの目の前には、「唯一にして最大の闘病者コミュニティ」としての「闘病ネットワーク圏」が既に存在している。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

Health2.0と映画「マトリックス」

「Diabetes Reloaded」というこのビデオのタイトル。あの映画「マトリックス リローデッド」を意識して付けられたものであることは間違いない。たしかに冒頭、漢字文字列が降ってくるシーンなどまさに「マトリックス」そのもの。ところでこのビデオは一見、糖尿病治療史みたいな体裁を取っているのだが、糖尿病を素材にしながら、実はHealth2.0が提起しているパラダイムを見事に要約して見せている。

そう言えば、昨秋サンフランシスコで開催されたHealth2.0コンファレンスの劈頭を飾ったビデオ「Health is・・・」 と、音楽の使い方をはじめどこか似た雰囲気がある。同じプロダクションが制作したからか。その意味で、この「リローデッド」は「Health is・・・」の姉妹編とも言えるだろう。

だが「Health is・・・」の方は、前半の医学史概観の部分が長すぎ、肝心のHealth2.0の説明が不十分だった。それに対して今回の「リローデッド」は、Health2.0の中心的な考え方を十分に語り切っていると思う。このあたりブログ「Diabetes Mine」を主宰する、Health2.0アルファブロガーとして有名なエミー・テンダリックさんが参加しているところが大きいと思う。

ところで、映画「マトリックス」に託してHealth2.0を描く、ということに込められた「意味」が気になる。あの映画のモチーフがそのまま医療に適用されているとしたら・・・・。見終わってから、あれこれと考えさせられる意味深なビデオである。

三宅 啓

Twitterと医療

SlideShare | View | Upload your own

2月ごろのエントリ「twitterで禁煙!: qwitter」 以来、実は「twitterって、医療と親和性あるんじゃないかなぁ」とずっと考えて来た。先のエントリでも医療への応用可能性をいくつか指摘してみたが、その後、まだ日本ではこの分野へのチャレンジはなさそうだ。TOBYOとの関連で言うと、たとえば闘病生活のデータ記録ツールとしてtwitterの可能性を追求してみる値打ちはあるかもしれない。

などと考えているところへ、まさに「Twitter for Health」というタイトルのプレゼン・スライドを偶然見つけた。これを見ると、米国では徐々にtwitterベースの医療・健康情報サービスが増えてきているのがわかる。ざっと見ているだけでも、いくつかヒントがつかめるはずだ。誰か一緒に開発しませんか。

三宅 啓  INITIATIVE INC.