今週初め、ある新聞(たぶん日経)を眺めていたら、数年前から病院で流行っていた「患者様」呼称が、最近廃止されはじめているとの記事を目にした。同様の記事は昨春ごろ朝日新聞にも出ていたが、このブログでもエントリに取り上げている。だが、この「患者様」呼称が、実は厚労省の通達によって指導されたものであるということは、初めて知ったのである。厚労省は90年代終り頃、たしか「厚生白書」(当時)において「医療はサービス業である」と言い出したのであるが、おそらく病院に対する「患者様」呼称の強制は、この「医療=サービス業論」の延長上にあるものと思われる。
だが医療はサービス業であるが、しかしその「サービス」はホテルやファーストフードなどが提供している「サービス」と同一視できるものではない。ホテルやファーストフードの現場において「お客様」呼称が一般的であるからと言って、医療現場においても「患者様」を言いさえすればよいというのも、なんだかとんでもない短絡思考であるように見える。その現場にふさわしい呼称や言葉使いというものがあるべきだ。 続きを読む