海外では、製薬会社や医療機器会社からスマートフォンやiPad向けの医療アプリが多数リリースされているが、とうとう専門紹介サイト「POCKET.MD」まで出現した。世界の主要製薬会社のブランデッド・アプリがほぼ網羅されており、またブランドごとにアプリが分類されているので便利なサイトだ。
ここで紹介されている日本語アプリはエーザイのipad向け「骨ケア」だけだが、そう言えば国内製薬会社のアプリというのはあまり聞いたことがない。しかし、たかがアプリとバカにはできない。消費者向けの医療アプリは疾患啓発サイトに代わるDTCメディアになる可能性があるし、医師向けアプリは医師囲い込みやディテーリングのツールに利用される可能性もある。要するにマーケティングのダイレクト・チャネルとして有望なのだが、日本ではあまり積極的に利用しようという機運は起きていないようだ。規制の問題がはっきりしないこともあるのか。
一方、増加する製薬会社の医療アプリをにらみ、米国FDAは昨夏、規制ガイドライン・ドラフト“Draft Guidance for Industry and Food and Drug Administration Staff – Mobile Medical Applications”を発表している。
オンライン医療サービスはこれからますますモバイルへ傾斜していくだろうが、その際アプリの戦略的位置づけというものを考えておくべきだろう。
三宅 啓 INITIATIVE INC.