d2と医療マーケティング

近日公開予定のd2サイト・トップページ・イメージ。

長い道のりだった。この「TOBYO開発ブログ」は2006年12月から開始され、以来9年が経ち、来年にはもうまるまる10年になる。当時米国西海岸に立ち上がったHealth2.0ムーブメントと伴走しようと、患者体験共有「TOBYO」プロジェクト開発に取り組みながら、少しづつその目指すべきビジョンと方向性を固めてきた。ビジネスモデルとしてB2Bのデータサービスが必要であるとはわかっていながら、その具体像を見定めるのに手間取り、出来上がってきた初代「dimensions」には何か物足りなさを感じることさえあった。

さらにそれから、闇の中を手探りで進むような数年が過ぎ、ようやく私たちは「d2」という成果物を幸いにして作り上げることが出来た。そして再びあらためて周囲を見渡してみると、そこには10年前とはまるで違った景観が広がっていた。2005年ごろから始まったweb2.0に触発されて、おそらくHealth2.0も私達のTOBYOプロジェクトも起動されたはずだが、そのweb2.0で夢想された理想主義や予言された革命は、いつの間にかまったく別物の「現実と日常」に置き換わってしまっていた。今日あるようなSNSやコミュニティやネット世論は、当時予想された「ネットの近未来像」とは相当異なった相貌を呈していると言わなければならない。 続きを読む

ワンストップ・プラットフォーム「d2」


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患者ブログ調査プラットフォーム d2

d2 LOGO

秋が深まり、石神井公園の木々も少しずつ色づいてきた。夏から秋へ。ずいぶんブログを放置してしまったものだが、dimensions2開発の最終ラウンドに取り組んでいた。当初、9月完成の予定だったが、最終調整を経て10月から正式サービス稼働にこぎつけることが出来た。やれやれである。すでに大手製薬会社さんの採用も決定しているが、これから多くの医療関連の企業、団体にご利用いただけるものと確信している。

ところで、まずこのエントリをご覧になって「おやっ?」と思われた方も多いだろう。「d2」という見慣れない文字があるからだ。これは「dimensions 2」の略称である。どうも「ディメンションズ・ツー」というのがいかにも長ったらしいので、短く言い切って「d2」(ディーツー)にした。当面、従来のブランドシグネチャは残すが、いずれ「d2」に集約したい。

患者5万人の声を集大成した、ワンストップ調査プラットフォーム。

d2とは何かと問われたら、畢竟上記の文言になる。過去10数年間、数万を越える患者によって、次々にウェブ上に公開され蓄積されてきた膨大な量の闘病記録。私たちはこれを「闘病ユニバース」と呼んできたが、いまだかつて、これほどまでに大量で多彩な患者体験が公開されたことは歴史上なかった。そしてこの貴重なデータによって、日本の医療の実態が患者視点から可視化され、患者のニーズと感情の精緻な理解に基づいて医療変革が可能となる。このことは誰もが首肯するところだろうが、残念ながら、これまでウェブ上のかくも膨大な患者記録をうまく有効活用する方法がなかったのである。せっかく貴重なデータが大量にありながら、これはもったいないことである。社会の損失である。

私達のTOBYOプロジェクトは、以上のような状況を少しでも変えたいとの思いから出発したといえる。そしてウェブ上の闘病記録を活かすためには、とにかくまずウェブ上の闘病記録を少しづつ集めるところから始めるほかなかった。ずいぶん長い時間がかかってしまったが、きちんとしたデータ収集をしなければ後のステージはないと考えていた。

やがて3万件、5万件とネット上の闘病記録を収集しデータベース化してきたわけだが、ようやくこれらデータ集積サイズを使って、患者が何を体験し、何を感じ、何を望んでいるかを社会に伝えていくフェーズに達したと考えている。d2はそのためのワンストッププラットフォームである。これから少しづつ、d2の機能についてご紹介していくつもりだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.