パブリックという概念をめぐって

先日、英国の医療家系図による新サービス「MyFamilyHealth」を紹介したが、考えてみればこれは、数年前に米国HHS(保健社会福祉省)公衆衛生局と国立ヒトゲノム研究所が共同開発した「My Family Health Portrait」を焼きなおしたものと言えよう。家系図という分かりやすい概念を使って、遺伝子情報の公衆保健サービスへの利用を促進しようというこの米国政府プロジェクトは、今日から見てもたしかに先見の明があった。

ところで、このような遺伝子情報をベースにした医療家系図サービスを日本で実施するとしたらどうだろうか?。おそらく遺伝情報や家系情報などプライバシーにかかわる情報を「公衆衛生」という名のもとに利用することに対して、相当の反発が立ち上がるのではないだろうか。またこのことは、日本における最近の「GoogleMapsストリートビュー論争」などとも無関係ではないような気がする。 続きを読む