多彩に進化する闘病サイト

IgaEnikki

昨日のエントリで、ウェブ闘病記の独自性といったようなことを書いた。しかし「ウェブ闘病記」という表現をしてしまうから、リアル闘病記の代替物というイメージが付きまとうのかもしれない。だとすると、「ウェブ闘病記」よりも「闘病サイト」と言うべきなのだろう。

闘病サイトはリアルの闘病記に従属する存在ではなく、独自のコミュニケーション装置、あるいはメディアとしてますます多彩な展開を見せ始めている。たとえば最近、目につく機会が増えているのが「マンガの闘病サイト」である。その例として、楽天ブログで書かれている「Iga腎症絵日記」(作者:サジ54氏)などを見ると、テーマの消化の仕方も絵も非常にうまい。文字だけの闘病記よりも親しみやすく、ほっとするユーモアで気持がなごむ。今後ウェブ上で、「マンガ闘病記」という新しいジャンルが成立することさえ予感させるものがある。 続きを読む

二つの闘病記: リアルとウェブ

ReadWriteWeb2

一年半ほど前になるが、このブログの初期段階で、ウェブ上の闘病記についての考察をまとめてポストしたことがあった。現在でもそうだが、あの頃もウェブ闘病記に対する過小評価というものが存在し、これをなんとかしたいという思いに駆られて書いた。出版された「リアル闘病記」に対し、ウェブ闘病記の方は、何か価値が低いように見られていることに対して反論したい、という気持ちが働いていたのである。

今も、リアル闘病記とウェブ闘病記の比較について聞かれる機会は多い。「リアルが本物だ」という先入観は今でも抜きがたく存在するのだが、そろそろ、「ホンモノの代替物」というようなウェブ闘病記に対する古臭い見方を変えてもよいのではないか。ウェブがリアルを再現する代替空間ではないように、ウェブ上の闘病記もリアル闘病記の代替物ではなく、すでに独自の存在を確立していることを正当に評価すべきだと思う。 続きを読む

未来からの視線

FutureHC

大型連休もそろそろ終わりだが、当方はこの連休も、あちこちのウェブ闘病記を渉猟していた。全体として眺めると、なんだか昨年あたりから、新規闘病記ブログが爆発的に増えて来ているような気がする。もし、未来に「医療考古学」というものが存在するとすれば、きっと21世紀初頭の日本は、「歴史上かつてない多数の日本人が、ウェブ上で自分の闘病体験を大量に書き始めた時代」と記されるだろう。これまで自分や家族の病気体験を、このように多数の人が書き出し、公開するような時代はなかったのである。 続きを読む

TOBYOベータ版の進行報告

TOBYO_JITEN

TOBYOベータ版は現在、闘病記だけを対象とするバーティカル検索機能である「TOBYO事典」のテストを進めている。近々、公開テストを実施することになるが、当面は「胃がん」の闘病サイトだけに限定して、検索機能をテストする予定。そしてベータ版公開段階では、TOBYO収録闘病サイトから、30万ページをインデクシングし検索可能にする。

現在、TOBYO収録の闘病サイト件数は約3100件。これらすべてを検索可能にしたいところだが、当初は30万ページという枠を持って、ある程度検索対象サイトを絞り込んで検索サービスを提供したいと考えている。 続きを読む

患者体験を集める。米国ユタ州の”Health Story Bank”。

HealthStoryBank

米国ユタ州保健局が、州住民から患者体験情報を集める「ユタ・ヘルス・ストーリー・バンク・プロジェクト」を開始。”Share Your Stories with Us”をスローガンにウェブサイトを立ち上げた。

「ユタ・ヘルス・ストーリー・バンクは、他の人と自分の体験を共有したいと考えているユタ州民から、健康関連ストーリーを集めたコレクションである。われわれはこれらのストーリーを、今日の健康問題の明確化に役立てたいと望んでいる。あなたのストーリーを共有することによって、あなたはこれら問題の社会的認識を高め、他の人がより健康になるように働きかけることができる」。 続きを読む