書評:「ウェブ国産力」佐々木俊尚著、アスキー新書

WebKokusan

一昨年春の「グーグル、既存のビジネスを破壊する」( 文春新書)以来、この著者の著書は、出るたびに全部目を通してきた。しかし、まず最初から苦言を呈することになるが、どうしてこうも「書名」がダサイのだろうかと、いつも思うのである。この本も著者が「佐々木俊尚」でなければ、書名だけでパスしてしまうところだ。まして「日の丸ITが世界を制す」とのキャプションまで見てしまうと、書店店頭で手に取ることさえ恥ずかしくてできないではないか。少しは読者のことも考えて、意を尽くした書名ネーミングをしてもらいたいものだ。

とはいえ、中身はさすがプロのジャーナリストの仕事である。現場に足を運んでの取材は、現実に生起している「コト」を丹念に掘り起こし、いつもながら関係者の生きたボイスを多声的に編み上げて提示して見せてくれる。なおかつリアルタイムに生成されてくる事実を、時間軸上に配列して、その出自から意味を問い直す手際は鮮やかだ。 続きを読む

医療の効率性

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昨日、ジョージ・マクマナスのReadWriteWebに、Health2.0のレビュー「Top Health 2.0 Web Apps」がポストされた。読んでみるとこれは、先月末「eDrugSearch.com」に掲出されたエントリー「Health2.0インタビュー」での、マシュー・ホルトとインドゥー・スバイヤへのインタビュー記事が元ネタになっているようだ。この二人は今さら紹介するまでもないが、昨秋、そして来月開催予定のHealth2.0コンファレンス主催者である。 続きを読む

TOBYO開発の経緯

TOBYOstory

一昨年の8月。たしか半ば頃。暑い土曜日の午後だったと記憶している。世間はお盆休みだった。その日、海外の医療ウェブサービスを探している内に、TOBYOの基本アイデアは浮かんだ。実はその前年(2005年)の夏からおよそ一年間、「Web2.0+医療サービス」というテーマでアイデアをずっと探していたのだが、なかなか決定的なものに出会うことができなかった。 続きを読む

リテールクリニックと消費者の医療ニーズ

ConsumerNeeds

今月初め、ウェルマートがリテールクリニックの本格的展開に乗り出すことを発表した。ウォルマートは全米各地の有力医療機関と提携し、共同ブランド(Co-Brand)方式で各ウォルマート・ショッピングセンター内にリテールクリニックを「出店」する。アトランタとダラスを皮切りとして、2010年までに全米400店を出店する予定。同時に、これらのリテールクリニック全店にEHRを導入し、ペーパーワークをなくし、どこからでも患者データにアクセスできるようにする計画である。 続きを読む

医療機関のソーシャル・メディア対応

PR2.0

米国ボストンのべス・イスラエル・ディーコネス医療センターといえば、世界でもトップレベルの医療機関として広く知られている。この医療センターのプレジデントにしてCEOであるポール・レビー氏は、医療ブロガーとしても著名な存在で、また医療機関にWeb2.0を導入することに熱心な医療者としても知られている。

ポール・レビー氏はこれまで院内Wikiの導入など、病院経営にWeb2.0の発想や技術を積極的に取り入れる実績を持つのだが、べス・イスラエル・ディーコネス医療センターがどの程度、「2.0」で言われるところの「ソーシャルメディア」に対応できているかを自己評価し、ブログで公開している。その評価リストは下記のとおり。 続きを読む