e-Patientsと参加型医療

The Quantified Patient from e-Patient Dave deBronkart on Vimeo.

昨年のHealth2.0ムーブメントで特筆すべきことは、ベンチャー企業、IT企業、医療界など従来プレイヤーの他に、新たにe-Patientsと呼ばれる消費者・患者グループが参画してきたことだろう。旧来の患者会やアドボカシーなどとは違い、ウェブを積極的に活用して患者参加型医療の実現をめざす新しいタイプの医療消費者群が登場したわけだ。

この中心的存在が、これまで当ブログでもたびたび紹介してきた”e-Patient Dave”率いる”e-Patients.net”であり、昨年、このグループが中心になり「参加型医療学会」が結成され、このほど学術誌「Journal of Participatory Medicine」が創刊された。彼らがHealth2.0ムーブメントに参画してくることによって、Health2.0は新たに「参加型医療」という次世代医療のビジョンを獲得したのだと思う。 続きを読む

元旦から大晦日まで

Shinjuku_Gyoenn_sunset0912

今日で今年も終わり。年末年始をゆっくりと休みたいものだが、今日(31日)も出勤してお仕事。遅れに遅れていたバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」のニューバージョンだが、なんとか年内に公開することができた。今回のバージョンアップによって、検索対象サイトは約1万4千サイトになり、従来よりも検索結果を大幅に増やしている。闘病ユニバースに蓄積された闘病体験を、より一層、広く深く可視化できるようになったので、どんどん使っていただきたい。

今回のTOBYO事典ニューバージョンでは、将来検索ファイルサイズが大幅に増えることを想定して、Googleのような分割ファイルシステムの構築に挑戦した。大幅に公開が遅れた原因の一つはここにある。また従来バージョンで残存していた重複検索結果やゴミについてもかなり整理したが、これは今後も継続して行くことになる。だが、GoogleやYahooとは違い、あくまでも全文検索を目指しているために、重複しているように見える検索結果項目であっても別ページであることも多く、このあたりの結果表示の仕方も今後の課題になる。 続きを読む

メンタルヘルスSNS: Mental Health Social

MentalHealthSocial

メンタルヘルス患者、関係者、業者を対象としたSNS「Mental Health Social」が今月からローンチされた。標準的なSNS機能を一通り揃えているが、ターゲットをメンタルヘルスに絞りこんだこと以外に、これという新機軸は無い。

2006年のDailyStrengthから始まり、米国ではここ二三年の間に多数の医療SNSが登場したが、それも一通り出尽くした感がある。PatientsLikeMeとSermoのめざましい躍進がある一方、昨年発覚したDailyStrengthの行き詰まりと身売り、今年5月のTruseraの撤退など、医療SNSシーンは徐々に明暗をわけはじめている。イスラエルのiMedixなども、英語圏を中心に国際的な集客をしているのだが、今ひとつ伸び悩んでいる。 続きを読む

成長するリテールクリニック(コンビニ診療所)

RetailClinic2014

ここ数年、米国で医療の新業態として脚光を浴びてきたリテールクリニックだが、昨年の大不況の影響もあってかその成長は遅々として進んでいない。だが、今月になって大手コンサルティングのデロイト社が発表した予測レポートによれば、2011年頃からの成長期が見込まれ、2010年時点の全米1,00件程度が2014年には3,000件を越えるとのことである。

よく「コンビニ診療所」と言われるリーテールクリニックだが、医師に代わり看護師の診療でコストダウンをはかり、ショッピングセンター立地で24時間365日営業など、消費者に利便性とリーズナブルな医療を提供しようというもの。現在、市場はMinuteClinicとTakeCareの両チェーンで72%のシェアを取るなど寡占状態だが、WalMartグループなどは地元ローカル診療所との提携を進めており、さらに薬局との併設を追求するチェーンもあり、今後多様化が進展すると言われている。 続きを読む

読売新聞の医療サイト「yomiDr.」(ヨミドクター)

yomidr先月29日、読売新聞は医療・介護・健康情報サイト「ヨミドクター」を開設した。新聞社の医療情報サイトはこれまで各紙が展開してきているが、この「ヨミドクター」はいくつかユニークな特徴を打ち出している。なかでも「病院の実力」は「病院選びの強い味方」をキャッチフレーズに、アウトカム情報に一歩近づいた医療評価データを提供しており注目される。

全国約3,000病院の独自調査をもとに、病名と地域を選ぶことで、病院ごとの患者数や手術件数、専門スタッフなどが一覧で見られるサービスです。データを自由に並べ替えることができ、地方発の病院情報もネットで初めて提供する目玉コーナーです。(プレスリリース「読売新聞が、頼れる・役に立つ医療サイト「ヨミドクター」をオープン」より)

これは上の画面写真のようなスプレッドシート形式で、病名・疾患ごとに病院の治療状況を一覧比較できるもの。画面写真はおそらく「乳がん」治療の実施状況の画面だろうが、全摘手術から温存療法までの各治療法構成比率を、病院間で比較することができる。これまで、単に手術件数を病院ごとに集計するムックなどはあったが、この「病院の実力」はそこからさらに踏み込んで、詳細な病院ごとの治療状況を提供している。 続きを読む