闘病体験専門検索エンジン「TOBYO事典」の今後

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闘病体験専門検索エンジン「TOBYO事典」だが、改良版の公開が遅れている。クロールは既に終了しているのだが、データをチェックしてみると当初目標に対して達成度がやや不十分であり、修正と今後の作業方針など検討している。TOBYOプロジェクトのミッションは「ウェブ上のすべての闘病体験を可視化し検索できるようにする」ことであるが、これを最も早く確実に実現するための方策を考えている。

現時点で想定しているのは、複数の検索エンジンをTOBYOに装備することだ。現状のTOBYO事典のような闘病ユニバース全体を見渡す検索エンジンは必要だが、他方、各疾患別に特化した検索エンジンを複数設置する必要があると考えている。たとえば「がん疾患グループ」専門の検索エンジンとか、「メンタル疾患グループ」専門の検索エンジンなどを設置し、闘病者の個別ニーズにより一層特化し、きめ細かい情報検索ができるようにしたい。闘病者の情報ニーズは、闘病一般とか医療情報一般についての情報にではなく、特定疾患の特定症状についての情報を指向している。つまりその情報ニーズは個別化し細分化しているのであり、それに対応した情報提供が求められていると思う。

TOBYOは現時点で805疾患を収録しているが、もちろんこれらすべてに特化した検索エンジンを設置することはない。おそらく、疾患をいくつかの「疾患グループ」にまとめることになるだろう。来春稼働を目指したい。

これらのことを通じて、よりクリーンでニーズにきめ細かく対応した情報検索、あるいはより実践的に闘病に役立つ情報検索を実現し、GoogleやYahooなど汎用検索エンジンとの一層の差別化を図っていきたい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

医薬品の検索連動広告規制に対するGoogleの提案

先週、米国FDAが医薬品ネット広告規制についての公聴会を開催した。FDAはこの春、製薬会社14社に対し、Googleなどの検索連動広告を使っての医薬品広告が、法律が定めるリスク情報表示を含んでいないと公開書簡で警告した。その後、FDAはインターネットとソーシャルメディアにおける医薬品のプロモーション活動に関する政策決定へ向けた検討を始めているが、今回の公聴会はその一環である。

この公聴会でGoogleはプレゼンテーションをおこない、FDAの意向に沿う新しい検索連動広告の標準テンプレートを提案した。Googleによれば、春以降、FDA書簡による指導によって、医薬品の検索連動広告は大幅にクリックスルーレートを落としているとのことである。

どうやらFDAは、これまで「グレーゾーン」であった医薬品の検索連動広告やFacebookなどのSNS内広告の規制に本格的に乗り出すようだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

Googleがインフルエンザワクチンのファインダーツールを公開

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GoogleはHHS(米国保健社会福祉省)と協同し、GoogleMapを使って、新型インフルエンザと季節インフルエンザのワクチンを接種できる場所を探すツール「Flu Shot Finder」を公開した。郵便番号か都市名を入力すると、周辺地図に赤と青の注射器マークがマッピングされる。赤は季節インフルエンザ、青は新型インフルエンザ、そして赤青混在は両方のインフルエンザンのワクチン接種拠点を示している。

上図はシカゴ周辺のワクチンマップだが、通常の医療機関だけでなく、MinuteClinicのようなリテールクリニックやWalGreensなど薬局量販店などもワクチン提供拠点になっている。なお、このワクチンマップはまだ全米の20州しかカバーしておらず、また各拠点のワクチン在庫情報表示も遅れがちだということだが、HHSから最新情報の提供を受けて漸次改善していくそうだ。

これは先に公開されたアウトブレークマップと共に、すぐに役立つ便利なサービスだ。これまで医療情報システムと言えば、何か重厚長大でべらぼうにお金のかかるシステムを想像しがちだったが、実際には、こんなふうに状況に機敏に対応する小さくて軽いサービスこそが必要なのだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

赤ちゃんの泣き声を翻訳するiPhoneアプリ: Cry Translator

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続々とリリースされるiPhoneの医療関係アプリ。だが、これをはたして医療関連アプリと呼ぶべきかどうか・・・いささか躊躇もあるが、「赤ちゃんの泣き声翻訳アプリ」というものが登場した。その名もズバリ「Cry Translator」。赤ちゃんがなぜ泣いているのか、なぜむずがるのか、その原因がわからない若い新米両親に、泣き声を翻訳しその原因を解明して伝えるアプリである。

原因は「空腹、眠い、困惑、ストレス、退屈」のカテゴリーに分類されており、90%の精度で泣いている原因を突きとめられるという。

「ほんまかいな?」と、思いっきり眉に唾をつけて説明を読んだが、このようなアプリが登場するということは、やはり両親の「親パワー」が劣化してきたということか。今まで普通の母親なら、赤ちゃんの泣き声を聞き分けられたはずだ。

だが、赤ちゃんの泣き声を「翻訳」できるとすれば、これは他にも応用がきく。たとえば犬の鳴き声を「翻訳」するとか、ペット用の翻訳アプリが登場してきてもよさそうだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

HMSが新型インフルエンザ向けiPhoneアプリをリリース


iPhoneのAppStoreで、初の新型インフルエンザ向けアプリが発売された。これはHMS(ハーバードメディカルスクール)が開発したもので価格は$1.99。このアプリでは、次のようなコンテンツが利用できる。

  • 新型インフルエンザ基本知識の学習ビデオ
  • 新型インフルエンザから家族を守る方法
  • パンデミックに備えるビジネス
  • HMSから新型インフルエンザの最新ニュース配信

消費者教育ツールという位置づけなのだろうが、同じサービスをウェブサイトからPCベースで提供しても「無料」になるところを、スマートフォン経由でなら有料アプリとして堂々と販売できるわけだ。スマートフォンは、これまで無料だったサービスを有料化するプラットフォームになりうる。

三宅 啓  INITIATIVE INC.