「Health2.0 2009」オープニングビデオ

Health 2.0 2009 Opening Video from Health 2.0 on Vimeo.

10月日6-7日、サンフランシスコでHealth2.0コンファレンスが開催された。一昨年秋のコンファレンスから数えて今年で三回目になるが、年々規模は大きくなっているようだ。イベントとしての規模が大きくなるのみならず、新しい医療ムーブメントとして、確実にその社会的影響力を増してきている。今年の劈頭を飾るキイノート・スピーチには、米国政府初代CTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)に就任したAneesh Chopra氏が登場し話題になった。

参加型医学、e-Patients、医療情報をシェアする権利、データの流動性、消費者生成医療、アンプラットフォーム、m-Health等々。この二三年の間に、Health2.0ムーブメントとその周辺からは、次世代医療へ向け、斬新なコンセプトが次々に生み出され世界中に発信された。日本でも、このようなコンセプト生産性のある医療ムーブメントが生まれてほしい。いや、これは自分たちで作るしかないのだろう。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

FoxBusinessで「keas」を語るアダム・ボズワース氏: keas

今月からベータ公開を開始した「keas」だが、やはり「あのアダム・ボズワースのプロジェクト」ということもあってか、米国では各方面の強い関心を集めている。その注目の人アダム・ボズワース氏が、FoxBusinessに登場し自らkeasを語っているので紹介しておきたい。また、「Adam Bosworth’s Weblog」でも、氏自身のkeasの説明「Learning from customers」 がポストされているのでご参照あれ。

「keas」自体はユーザー個人に特化した具体的な問題解決の提供という点で、従来にないユニークな医療サービスになっていると思う。おそらくこれに23andMeのような遺伝子解析サービスが付加されれば、最強のテーラーメイド医療サービスへ進化していくのではないか。

そしてまた、まったく新しいウェブ医療サービス領域を切り開きつつあるPatientsLikeMeなどとも、Keasはいずれどこかでクロスするような気がする。すでにこの春から、PatientsLikeMeと23andMeが、共同してパーキンソン病克服プロジェクトの取り組みを進めている。どうやら消費者向けウェブ医療サービスの今後の行方は、この三社を中心として展開していくような予感がする。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

e-Patient Revolution


先月ポストしたエントリ「参加型医学(Participatory Medicine)」で、最近米国で脚光を浴びる機会が多い「参加型医学」と「e-Patient」のことを取り上げた。これまで日本でも「患者中心医療」などの言葉はあったが、はっきり言わせてもらうと単なるスローガンに終わっていたと思う。言葉だけで患者を持ち上げながら、実体はなんら変わるところのない従来医療。そんなトリックは患者からとっくに見破られていることを、医療者は早く気づいた方が良い。

ところで参加型医学ムーブメントを担ってきた「e-Patients.net」 が中心となって、今月26日-27日、フィラデルフィアで「e-Patient Connections 2009」 と題されたコンファレンスが開催される。そのPRビデオが公開されたのでご紹介したい。

「革命」という文言にはいささか食傷するが、今後、医療の参加者としての患者の役割は増えていくに違いない。たとえば、患者が自分の闘病体験をドキュメントにまとめ上げ、ネットで公開する利他的行為なども、その「参加」の一つの形態であるだろう。TOBYOプロジェクトはそのような「患者参加」をエンパワーすることをめざしている。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

次世代ウェブ医療サービス登場!: keas

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6日付NewYorkTimesは、アダム・ボズワース氏率いる「keas」のローンチを紹介している。アダム・ボズワース氏がGoogleHealthプロジェクトから離脱すると同時にGoogleを去り、すでに2年が経過した。これまでのボズワース氏の業績から見て、かならず画期的な医療サービスを開発してくれるとの期待は大きかったが、登場した「keas」はこれら期待に応え、まさに次世代ウェブ医療サービスのあり方を具現化するものである。

これまでのウェブ医療サービスは、さまざまに雑多なスタイルはあれど、おおむね「医療情報サービス」というくくり方で一括できるものであった。つまり「医療情報」をどのようにユーザーに提供するかをめぐり、提供方法のバリエーションと便益性を競うものであった。そしてここにおける「医療情報」とは、あくまでも「一般的な医療情報」のことであった。疾患情報、薬剤情報、治療情報、医療機関情報など多岐に渡るとはいえ、これらはあくまで一般化され抽象化された情報である。ここで欠落しているのは個別性であり具体性であり、さらに言えば特定個人についての情報である。だが闘病者が求めているのは、たとえば「乳がん」という一般医療情報ではなく、本当は「自分の乳がん」に関する個別情報なのだ。 続きを読む

新しいファンドレイジング手法: ドネーション・ミュージック


去る7月1日から、ACジャパン(旧公共広告機構)の「国境なき医師団」支援キャンペーンCMがTV放映されている。このテーマソング「BEYOND THE BORDER」が9月30日からドネーション・ミュージックとしてネット配信されている。ドネーション・ミュージックとは楽曲をダウンロード購入した際、コストを差し引いた収益金を寄付する仕組みだ。収益金は「国境なき医師団」に全額寄付される。今回のキャンペーンでは複数のミュージシャンやアーティストの参加が予定されており、今後ドネーション対象作品は増えるようだ。このキャンペーンを企画運営しているのは電通ソーシャルデザインエンジン。

クリック募金をはじめ、非営利団体のファンドレイジング(資金開拓)手法がさまざまに開発されてきているが、今回のドネーション・ミュージックもその一環と考えてよいだろう。当方のTOBYOプロジェクトも目下、資金還流スキーム作りに取り組んでいるのだが、これらファンドレイジング手法を採用することになるし、今回のドネーション・ミュージックのような方向性は、スキームを考える際大いに参考になる。 続きを読む