ここ数年、米国で医療の新業態として脚光を浴びてきたリテールクリニックだが、昨年の大不況の影響もあってかその成長は遅々として進んでいない。だが、今月になって大手コンサルティングのデロイト社が発表した予測レポートによれば、2011年頃からの成長期が見込まれ、2010年時点の全米1,00件程度が2014年には3,000件を越えるとのことである。
よく「コンビニ診療所」と言われるリーテールクリニックだが、医師に代わり看護師の診療でコストダウンをはかり、ショッピングセンター立地で24時間365日営業など、消費者に利便性とリーズナブルな医療を提供しようというもの。現在、市場はMinuteClinicとTakeCareの両チェーンで72%のシェアを取るなど寡占状態だが、WalMartグループなどは地元ローカル診療所との提携を進めており、さらに薬局との併設を追求するチェーンもあり、今後多様化が進展すると言われている。
2010年からリテールクリニックが成長するための要因として、デロイト社は以下の諸点をあげている。
- リテールクリニックでの受療に対するヘルスプラン(健康保険)の費用負担
- 消費者の業態認知と利用意向
- より一層利便性の高い立地への出店
- 地域密着の推進
メイヨークリニックやクリーブランドクリニックなどトップブランドの医療機関も、リテールクリニックへの業態進出を発表しているが、今後の医療は多様な消費者ニーズに対応して、ますます多様な医療サービスを提供していくことが求められている。また米国医療改革で最も重視されているのは医療コストの削減であるが、その意味でもリテールクリニックに集まる期待は大きい。
日本でも、同様の医療業態開発が出てきてほしいものである。
三宅 啓 INITIATIVE INC.