DFCと産業界トレンド

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目下開発中のDFC(Direct From Consumer)だが、ここのところ製薬企業をはじめ様々な方々から、この新しい患者体験ファクト・ファインディング・ツールに対するご意見を頂戴している。やはり「ツール」であるから、実際に動かしてみてその使用感を体験してみないことには、なんとも評価できないところはあるだろう。その意味で早くテスト評価版を完成させ、ひとりでも多くの方々に実際に試していただきたいと考えている。

ところで当初、私たちがDFCの評価について一番気がかりであったのは、このツールが端的に言って「ピンと来るか、来ないか」という点である。おそらく評価は極端に二分されるだろうと想定していたのだ。これはまず、患者ドキュメントあるいは一般にUGCというものをどう評価するかという問題に関わってくる。この点、医療界、エスタブリッシュメント企業、あるいは中高年層などからは、おそらくネガティブな評価がされることは覚悟していた。

だがこれまで聴取した意見によれば、もちろんそのようなネガティブ評価はあるものの、それが圧倒的多数を占めているわけでもないことが分かり、ほっとしている。ソーシャルメディアの拡大と浸透、ブログリサーチなど新手法の台頭などによって、大きな流れとしてUGCを重視して行く方向が産業界で明確になりつつあるようだ。ある広告会社の方から次のような話を聞いた。

ここ一年くらいで、クライアント企業の情報収集スタイルが劇的に変わった。従来の市場調査をやめ、ブログ、SNSなどに書かれた消費者の生の声を大量に集めて読み込み、そこからファクトを探索するようなスタイルが一般的になりつつある。その意味でCookpadや@cosmeなどに注目が集まっている。

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熱い夏

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先週から体調を崩し、週末は完全休養にあてた。8月に入って暑さは相変わらずだが、昨日は午前中、雷と共にかなり激しい雨が降りなんとなく涼しかったが、今日は朝から暑い。

昨日からクリステヴァの「ハンナ・アーレント」(ジュリア・クリステヴァ、松葉祥一他訳、作品社)を読む。実は私たちが起業する際、ハンナ・アーレントのある著作から社名のヒントをもらったこともあり、以来、ずっと関心をはらってきた思想家である。この本はメラニー・クライン、コレットと合わせた三部作のうちの一作であるが、クリステヴァの執拗にして明晰な探求には舌を巻く。しかし、クリステヴァの原作読解が容易ならざるものだろうことは推測できるのだが、それにしても翻訳文がひどすぎるのではないか。機械的な直訳に辟易した。 続きを読む

DFCとブログ・マーケティング

Direct From Consumer

猛暑来襲。暑い、熱い、あつい。

この暑さの中、DFC(Direct From Consumer)の開発に取り組んでいる。9月中にはアルファ版完成を予定。先週エントリで「ブログ・マーケティング」について考えてみたが、春先からDFCの仕様をあれこれ検討しているうちに、自然と当方なりのブログ・マーケティング観というものが次第に焦点を結びつつある。他のブログ・マーケティング関連サービスとはかなり違うものになるかも知れない。

これまで既に稼働しているブログ・マーケティング・サービスやツールを見ると、ウェブ上の流行現象の盛衰、伝播パターン、キャンペーン効果等をいかに時系列把握するかがテーマになっているケースがほとんだ。この点、医療においては消費財のようなファディッシュな流行現象というものは考えにくい。

だからDFCでは、時系列で複数ブランドの出現頻度をトレースするような必要はあまりない。また、関連ワードによって特定ブランドやプロダクトネームに対する好意度解析をするケースも多いが、DFCではこれもあまり重要ではないと考えている。医薬品、医療機器のプロダクトネームを「好き、嫌い」で評価してもあまり意味はないからだ。医療機関に対しては好悪評価の余地はありそうだが、これもよく考えるとさしたる意味を持つとは思えない。 続きを読む

TOBYO_dfc (direct from consumer)

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街中がサウナになってしまったかのような猛烈な蒸し暑さだ。地面から水蒸気が立ち上っているのが見えるような気さえする。だが、新宿御苑の近辺まで来ると爽やかな冷気が吹いてきて、都心にあって「森の力」を実感したりする。こんな季節になると、とにかく美味しそうに冷えたビールがやたらと恋しくなるが、目下当方、慢性疾患(痛風)改善へ向け生活スタイルを変えているところであり、「常にビールのある生活」も遠のいてしまい残念。

さて、「闘病者の声をダイレクトに伝える、新しいWebアプリケーション」として開発を進めている「TOBYO_dfc」だが、ようやく仕様が最終的にかたまり、この夏中にはアルファ版を完成させてしまいたい。およそのスケジュールとしては、10月頃から年内いっぱいはアルファ版のテスト運用期間とし、来年早々には本稼働に持っていくようなイメージを描いている。 続きを読む

開発すすむDFC

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TOBYOのB2Bプロジェクトとして取り組んできたDFC(Direct From Consumer)だが、現在、さまざまな人々の意見を聞きながら開発を進めている。これまで存在しなかったツールであるだけに、なかなかそのイメージを描いてもらうことが難しい場合もあるが、即座に全体像を理解してもらえることもある。

DFCは「患者が体験した事実をエキスパートに届けるためのツール」であるが、まず製薬会社向けに、薬剤にフォーカスした仕様を想定して開発を進めている。その後、医療機器、医学研究、医療機関、ペイヤーなどにもフィットする仕様を順次的に開発していくことになる。従来、「患者の声を聞く」ためにアンケートやインタビューなどの調査手法があったが、時間やコストの制約があり、なかなか思うようにはデータを集められなかった。これに対しDFCでは、いつでも必要なときに、リーズナブルなコストで納得の行くまで、膨大な量の患者体験データを効率良く調べることができるはずだ。 続きを読む