新しいファンドレイジング手法: ドネーション・ミュージック


去る7月1日から、ACジャパン(旧公共広告機構)の「国境なき医師団」支援キャンペーンCMがTV放映されている。このテーマソング「BEYOND THE BORDER」が9月30日からドネーション・ミュージックとしてネット配信されている。ドネーション・ミュージックとは楽曲をダウンロード購入した際、コストを差し引いた収益金を寄付する仕組みだ。収益金は「国境なき医師団」に全額寄付される。今回のキャンペーンでは複数のミュージシャンやアーティストの参加が予定されており、今後ドネーション対象作品は増えるようだ。このキャンペーンを企画運営しているのは電通ソーシャルデザインエンジン。

クリック募金をはじめ、非営利団体のファンドレイジング(資金開拓)手法がさまざまに開発されてきているが、今回のドネーション・ミュージックもその一環と考えてよいだろう。当方のTOBYOプロジェクトも目下、資金還流スキーム作りに取り組んでいるのだが、これらファンドレイジング手法を採用することになるし、今回のドネーション・ミュージックのような方向性は、スキームを考える際大いに参考になる。 続きを読む

バザールとしての次世代医療システム:

まずは訂正から。先日エントリで、厚労省の資料から「日本の総患者数2,674万人」としたが、あとでよくよく考えてみれば、この資料はうつ病など精神疾患が抜けており、実際の総患者数はもっと多いはずだ。だがいずれにしても、闘病ユニバースの推定サイト3万件というのは全患者数から見て少ないことに変わりない。

昨日、TOBYO収録サイト数は1万7千件に達した。以前よりは収録ペースを落としているが、今後も収録数を増やし、いずれ闘病ユニバースの全体像をユーザーに提示できればと考えている。これまで過去に何回か「量的拡大の限界」ということを立ち止まって考え、「量から質への移行」など模索してきたこともあった。だが「推定3万件」という闘病ユニバースのサイズを考えてみると、十分に手の届くサイズであり、このまま全体像に近い規模まで収集を続けていきたい。 続きを読む

Microsoftの個人健康管理ツール”My Health Info”登場

 MyHealthInfo

今月1日から、Microsoft社は「MSN Health & Fitness」  に新しい個人健康管理サービス「My Health Info」ベータ版を公開した。このサービスは個人医療情報管理のためのツール群をウィジェットとして提供するもので、ユーザーは自分のページに好きなウィジェットを自由に配置して使用できる。現在、次のようなウィジェットが提供されている。

  • 健康データ管理:
    BMIトラッカー、血圧トラッカー、血糖値トラッカー、検査ラボデータ、心拍数トラッカー、歩数トラッカー
  • 個人医療情報管理:
    病歴、薬歴、予防接種、アレルギー
  • 健康ニュース:
    医学論文、高血圧ニュース、糖尿病ニュース
  • その他:
    高血圧FAQ、糖尿病レシピ、HealthVaultアプリ

この個人健康管理サービス「My Health Info」の特徴は、ツールをウィジェット化しユーザーの必要に応じてカスタマイズできる点と、MicrosoftのPHRプラットフォームであるHealth Vaultと連携している点である。これでHealth Vaultにある自分の医療情報を、ユーザーは自由に活用できるようになるわけだ。 続きを読む

個別化細分化する闘病情報ニーズ

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夏から、闘病体験バーティカル検索エンジン「TOBYO事典」の改善&アップデートに取り組んできたが、先月リリースの予定がまたまた遅れてしまった。もうしばらく時間がかかりそうだ。今回の改善&アップデートでは、検索精度の向上と検索インデックス拡大を目指している。しかし、検索インデックスが増加するにつれ検索結果の量も増えるわけで、これは「目指す情報に最短で到達したい」というユーザーニーズに反することになる。海外のバーティカル検索エンジンでは、検索結果にフィルタリングオプションをつけるなど様々な工夫があるのだが、TOBYO事典も将来はこれらを導入していきたい。

当面の問題は、検索対象が増加すればするほど検索結果のSN比が下がり、ユーザーの求める情報にたどり着きにくくなることだ。たとえば乳がんの闘病者が、乳がん治療抗がん剤の副作用を調べたいと考えているとしよう。現状、「TOBYO事典」ではすべての検索インデックスを対象に検索を行っているから、乳がん以外の双極性障害や1型糖尿病の闘病ドキュメントまでが検索対象に含まれる。乳がん闘病者は、当然、乳がん闘病ドキュメントだけを検索したいはずなのに、現状では他の疾患の闘病ドキュメントにたまたま書かれた乳がん抗がん剤のページまで検索結果に表示されることになる。 続きを読む

医療改革プレゼンテーション

このブログでも何度も使用しているプレゼンテーション・スライド共有サイト「SlideShare 」だが、このたび第三回「世界ベスト・プレゼンテーション・コンテスト」を開催した。世界130カ国から応募された3,750点の中から、グランプリに選ばれたのは「Healthcare Napkins All」という作品。これは米国医療改革をテーマとしたプレゼンテーションである。

ホワイトボードと紙ナプキンにサインペンで手書した図表を撮影するという、なんともシンプルでローテクな手法だが、無駄のない説得力あるプレゼンテーションに仕上がっている。この作者Dan Roam氏は「紙ナプキン・ライター」として有名であるらしく、「ナプキンの裏:図表による問題解決とアイデア売り込み」と題したベストセラー本まで出している。またMicrosoft、WalMart、米国上院議会等の指導者に、複雑な問題を「視覚思考」で解決する指南役をしているとのこと。 続きを読む