新型インフルエンザ体験ドキュメントを読んで思ったこと。

昨日から新型インフルエンザ闘病記収集にかかった。これは一種の実験だと考えている。「新型インフルエンザのパンデミックに対し、TOBYOはいったい何ができるのだろう」と考えてみると、とりあえずできることは闘病体験ドキュメントを集めることである。そして、実際に集まった新型インフルエンザ体験ドキュメントを読んでみると、一様に冷静な筆致で事実が描かれていることが確認できる。

この春以来、国の「水際防止対策」などが大きく報道されたせいもあるだろうが、新型インフルエンザに対して、必要以上ともいえる警戒心が社会的に形成されたのではなかったか。それに対し実際に体験された事実は、それら過度の警戒心を和らげ、フツウの日常生活の範囲内で病気に十分対処できることを示している。ここで重要なのは体験された症状や診断や薬剤やその副作用などはもちろんなのだが、それよりも、淡々と進む生活時間の中で病気が確実に治癒されていく姿だ。そこに何も劇的なものはないが、これらの体験ドキュメントはそれを読む人に、冷静に新型インフルエンザに対処できることを教えている。

マスコミなどで誇張された「ニュース」ではなく、生活者の日常目線で記述された「ドキュメント集合体」のほうが、おそらく事実の多くの側面を冷静に伝えることができるのだろう。パンデミックや災害時などでは、このように体験者の多様なドキュメント集合体が瞬時に形成され、広く届けられることが重要なのだと思う。そしてこのことは、おそらくニュースレポーターではなく、ブロゴスフィアやTwitterなどが担うことになるのだろう。

三宅 啓  INITIATIVE INC.