米国患者SNSと欧州製薬メーカーの戦略的提携

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米国の代表的患者SNSであるPatientsLikeMeは、6月15日、ベルギーの製薬メーカーUCB社と共同して癲癇患者プラットフォームを構築する戦略的提携を発表した。このプラットフォームは2010年の早い時期に立ちあげられ、診断・予後・治療計画に関わりなく、とにかく癲癇を患っている患者すべてから得られた情報を収集、分析、研究することをめざしている。

UCB社はベルギーのブリュッセル本社の製薬メーカーだが、特に中枢神経系と免疫不全の分野にフォーカスしており、世界40カ国で1万人の従業員を擁している。同社CEOのRoch Doliveux氏は今回のPatientsLikeMeとの提携について、次のように述べている。

UCBは、長年にわたって過酷な条件にある人々の生活の改善に取り組んできた。今回の提携は、初めて患者に彼らの体験や実環境データで、現在進行中の癲癇研究に貢献することを可能にするという意味でエキサイティングなものだ。

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700エントリ目の所感: Consumer-Driven Healthcare

先週、発熱して一日寝込んで以来、体調があまり良くない。週末は外出をやめて自宅で休養に徹することにした。ブログも三日ほど休んだが、実はこのエントリで700回目を迎えることになる。2006年の暮れにブログを始めて以来、主として「海外ブログを読み、考え、ブログを書く」ということを延々と繰り返してきたわけだが、やっているうちに、この方法が非常に生産性の高い学習方法であることがわかった。従来の書籍・新聞・雑誌を手掛かりに個人メモを書く方法に比べると、おそらく知的生産性は数十倍以上になるだろう。 続きを読む

患者SNSと遺伝子解析サービスの提携

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米国の代表的患者SNSであるPatientsLikeMeと、Googleの遺伝子解析サービス会社である23andMeが6月9日、パーキンソン病克服プロジェクトで提携することを発表した。すでにこのブログでも取り上げたが、この春、両社はお互いに似たようなプロジェクトを相次いで起動している。PatientsLikeMeは、ALS患者コミュニティ向けに遺伝子検索エンジンの提供を開始し、ALSの原因と結果の解明および治療方法開発を加速化することを発表した。一方、23andMeは全世界から1万人のパーキンソン病患者を集めて大規模コミュニティを立ち上げ、同社の持つ遺伝子解析技術をもとに、パーキンソン病の原因と結果の解明を早めると発表している。

ALSとパーキンソン病と対象疾患は異なるものの、両社のプロジェクトは「遺伝子、コミュニティ」という共通キイワードで括ることができ、しかもまったく同じ目標を持っていたのである。「ここまで似ているのなら、一緒にやればいいのに」と思っていたが、案の定、両社の提携が正式に発表された。 続きを読む

一日だけの闘病

今朝起きると頭が割れるように重く、身体はコントロールを失いふらつくありさま。体温をはかると38.1度であった。ひたすら安静にして熱が下がるのを待ったが、体温はその後も上昇し38.7度に達した。39度になったら医者へ行こうと考えたが、「ひょっとして新型インフルエンザか?」という懸念も頭をもたげてきたのである。「闘病記を書かないとなあ」などと考えもした。だが昼頃に発汗があり、熱は下がり始めた。さっき(15時)はかってみると37.5度。山は越えたようだ。新型インフルエンザではなく、ただの風邪だったようだ。 続きを読む

日本のHealth2.0経済圏の創造へ向けて

昨日、ある大学医学部の先生からメールを頂戴した。見ると、TOBYOプロジェクトが事業としてどのように持続していくのかについて、率直な感想や質問が書かれていた。たとえばTOBYOに広告バナーが貼られていないのは清々しいが、一体、売上はどうなっているのかなど、まことにごもっともなご質問である。実はこのような質問は、これまで様々な方々からしばしば頂戴している。中には、真剣に深く心配までして下さる方もおられ、恐縮の至りである。

TOBYOのビジネスモデルについて、このブログでは何度か考え方や方向性は述べてきたのだが、具体的なディテールまで説明したことはなかった。構想はいくつもあり検討も進めてはきたのだが、いかんせん「いまだ機は熟さず」という思いが先に立ち、計画を立案し行動するまでには至らなかった。ではいつになったら「機が熟す」のかと言えば、収録闘病サイト数が1万5千サイトを超え、バーティカル検索エンジンで全文検索できるサイトが1万サイト以上になった時だと決めていた。そしてようやく最近になって、これらの条件はクリアされたのである。すなわち機は熟した。いよいよビジネスモデル構築へ向け本格的に動き出す時だが、それに関連して次のようなことを考えている。 続きを読む