「医療情報の権利」宣言

HealthDataRights

今週月曜日(6月22日)、米国でHealthDataRights.orgのサイトが立ち上げられ、そのトップページに「医療情報の権利宣言」が掲げられた。この「権利宣言」は、個人医療情報について、人々が持つべき次の四つの基本的権利を宣言している。これを読みながら、「Health2.0ムーブメントは、明らかに次のステージに移行した」と思った。この「宣言」は、今後のHIT(医療情報技術)の進路に、きわめて大きな影響を与えることになるだろう。

  • われわれ自身の医療情報に対する権利
  • それぞれの医療情報要素のソースを知る権利
  • われわれ個人の医療情報の完全なコピーを、遅滞なく、最小経費もしくは無料で手に入れる権利。もしも情報が計算可能な形式で存在するなら、その形式で入手できなければならない。
  • われわれが適当と考える他人と医療情報をシェアする権利

サイトの「ブログロール」ページには「HealthDataRights.orgは集合知のパワーを必要としている」と書かれ、権利宣言賛同者の多数のブログが掲出されており、また賛同者のページでは260人の個人賛同者とGoogle、MicroSoftをはじめ賛同企業19社が名を連ねている。 続きを読む

今年後半、TOBYOがフォーカスする二つのポイント

TOBYOプロジェクトが、今年後半へ向け取り組もうとしている活動については、エントリ「TOBYOプロジェクト:年内の予定」で数値目標を中心に紹介済みである。一応、初期構想段階で想定していた基本機能に限ってみれば、現状のTOBYOでほぼ完成しているのだが、まだ完成度が低かったりするものもある。

細かいところを省略してしまえば、およそ今年後半の活動は二点に集約されると考えている。まずバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」の改善だが、これはTOBYOプロジェクトのコアに位置する機能であるだけに重要だ。現在、着手し始めているのは新しいクローラーの開発である。従来クローラーではサイト取得率の限界があり、これを向上させなければならない。そして、現状の検索結果品質をさらに高めるために、本文抽出機能と重複取得回避機能の改善をしていく。 続きを読む

ゲンバッテください!

BIDM(Beth Israel Deaconess Medical Center in Boston)のポール・レヴィ院長のブログ「Running a hospital」を読んでいると、最近、「Gemba」という言葉がしきりに出てくる。「Gembaって何だぁ?ジェンバと読むの?」と、はじめは首をひねって読み流していたのだが、何度も目にしているうちに、次第に語のコンテクストから、「これは、ひょっとしてゲンバ(現場)か!」と類推するにいたった。 続きを読む

慢性疾患のDMポータル


慢性疾患のDM(ディジーズ・マネジメント)ポータルのプレゼンビデオ。この「DMポータル」を手がけたのはZaneNetというベンチャー企業だが、NIH(国立衛生研究所)とハワード大学(ワシントンDC)の共同プロジェクトの一環として開発されたようだ。

慢性疾患の患者と医療者をダイレクトに結び、疾患管理のためのツール群をワンストップで患者に提供しようという狙いらしい。なるほど、疾患管理に必要と思われるツールはほぼ網羅されて「天こ盛り状態」なのだが、どうも総花的でコアになるベネフィットが判然としない。見ていてお腹いっぱいになるのだが、結局、さしたる印象も残らないのはいったい何故なのか。 続きを読む

シェアする権利

昨日に続いてPatientsLikeMe関係の話題になるが、同社経営メンバーであるヘイウッド兄弟の一人ジェームズ・ヘイウッド氏が、最近、同社公式ブログに発表したエントリ「Sharing Is A Right As Well」が話題になっている。

先月、PatientsLikeMeは保健社会福祉省(HHS)人口保健統計委員会(NCVHS)の「プライバシー、守秘義務、セキュリティ小委員会」に召喚され、医療ITとプライバシー問題について証言を求められた。ジェームズ・ヘイウッド氏はこの小委員会に出席し、PatientsLikeMeを代表して同社が考えるプライバシー論を展開したのである。結論から言ってしまえば、従来のプライバシー観に対し、ジェームズ・ヘイウッド氏は人々が互いに「情報をシェアする権利」を対置し、プライバシー至上主義を批判して見せたのである。見事である。 続きを読む