優先するものは何か

一昨日、ある新聞社の求めに応じて取材に協力し、TOBYOの資料などを送った。だがメールをよく読みなおすと、予定されている記事は「患者SNSの紹介」とある。もちろんTOBYOは患者SNSではない。担当記者と話してみると、なんとDIPEXを患者SNSと勘違いしていたので驚いた。

この件についていろいろな想念が頭をよぎったが、本格的な患者SNSがまだ日本に登場していないので、具体的なイメージがつかみにくいということか。世界中で患者SNSは立ち上げられているが、日本ではまだこれから登場するのを待っている段階だ。 続きを読む

ある臨界点をめぐる考察

最近、いろいろな人にお会いしてよく聞かれる質問に「あまり医療のことはよく知らないのですが、医療系ベンチャーにはやはり相当の医療の勉強が必要でしょうねぇ・・・」というのがある。それに対し「いいえ、むしろ医療のことをあまり知らない方が良いケースもありますよ」と応えると、たいてい意外な顔をされることが多い。

医療者でもないのに中途半端に医療界の事情通になったりすると、次第に自分が医療界のメンバーであるかのように錯覚しはじめ、挙句は医療界に成り替って消費者に説教までしだすような例をこれまで何度も目撃して来た。こういう連中は、最初は消費者中心医療とか患者目線の医療などと、消費者や患者を持ち出してむしろ医療界や官庁などエスタブリッシュメントに批判的なポーズを取ることが多いのだが、ある「臨界点」を超えてしまうと、逆に「医療界の事情」とか「国の医療政策」などと、訳知り顔に消費者に向かって解説し、啓蒙家を気取り始めるのである。まさに「ミイラ取りがミイラ」である。「国の医療政策はかくのごとく進展し云々・・・」などと役人作文然とした決まり文句を並べ、まるで「国営NPO」ででもあるかのような、そんなミイラ団体まで存在するから恐れ入る。

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検索エンジン公開とTOBYOのミッション

現在、1万件の闘病サイトを自由自在に全文検索するための検索エンジン「TOBYO事典」の開発を進めているが、公開まであと少し。本来なら先月公開を予定していたのだが、予期せぬ問題がいくつか生起し、今月末へとおよそ一か月は遅れてしまいそうだ。だが、あと少しである。

検索エンジン「TOBYO事典」の正式公開とフル稼働によって、当初予定していたTOBYOの基本的な機能は完成したことになる。現時点で改めて見てみると、登録ユーザーがネット上で闘病情報を収集整理するためのツールなども具えているのだが、やはり「闘病ネットワーク圏を可視化する」ための機能、つまり闘病サイトの索引情報機能、そしてそれら全サイトの全文検索機能の二つが、TOBYOのコア機能であることを再確認できた。あとは外部との連携プラットフォームを付加することになる。 続きを読む

コトの顛末

先日、ある団体から闘病記に関するシンポジウムの講師を依頼された。その開催要項らしきものを見たがさっぱり要領を得ず、意を尽くした文面も整えられておらず、主催者さえ明記されていないことにも辟易し、勝手にノミネートするその無礼さに不快感もつのり、そのまま無視しておいたのだ。そして昨日、またもやその団体から講師依頼メールが再送されてきたのであるが、今日、丁重にお断りのメールを返信しておいた。やれやれである。

このシンポジウムは厚生科研費のついた研究会活動の一環であるらしいが、とにかく当事者たちの問題意識が低く浅すぎるのではないか。仮題「闘病記の提供方法を考える」とのテーマで、四時間も一体何を議論するのか。このテーマ、字句通り受け取れば単純に「提供方法はネットや書籍など多様である」という話で終わりである。貴重な時間資源をなんと心得ているのか。 続きを読む

「Onlife×TOBYO」交歓ランチョン

Onlife×TOBYOリニューアルオープンしたOnlifeを開発された株式会社ヨセミテの津田社長、塚田副社長、高橋プロデューサー、秋田さんの皆さんが、本日、当方へご来訪。秋晴れのお昼時。新宿御苑横のレストランでランチをいただきながら交歓。(写真)

「パブリック」という問題意識をきちんと持った集団が、日本で新しい医療情報サービスにチャレンジしようとしている。単純にこのことが嬉しいし、素晴らしい。 続きを読む