過去への誘惑

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RevolutionHealthが苦戦している。一昨日(8月4日)のTechCrunchは次のように報じている。

Revolution Healthはいろいろトラブルを抱えているという噂で、レイオフを繰り返していることが報道されている。またMorgan Stanleyを雇って買収してくれる相手を探しているとも伝えられる。トラフィックもピーク時の月間400万近くから先月は160万へと急降下した。

さらに、女性向け広告ネットワークであるGlamMediaがRevolutionHealthの買収に乗り出しているとの噂もあるようだ。RevolutionHealthはAOL創始者のスティーブ・ケース氏をCEOとし、元ネットスケープ社のジム・バークスデール氏、HPの元CEOのカーリー・フィオリーナ氏、元国務長官コリン・パウエル氏など、超豪華メンバーの経営陣や、初期投資総額500億円などで話題になった。従来のWebMDの独占を崩す医療ポータルとして、期待は大きかったのだが、どうやら失速感がはっきりしてきているようだ。 続きを読む

書評:「インフォコモンズ」佐々木俊尚、講談社

まず、タイトルがピシッと決まっているのが気持ち良い。「佐々木本」はこれまでその内容に比して、あまりにも書名がダサ過ぎた。おそらく書名でずいぶん損をしてきたのではないか。今回の「インフォコモンズ」という書名は、佐々木氏の造語であるが、本の中身のまさにエクスプリシトな要約として秀逸である。この本は、いわばこの書名自身が自己展開され、様々な周辺概念を紡ぎ出しながら、独特の力動感を読み手に伝えることに成功していると思った。

インフォコモンズとは「情報共有圏」と説明されているが、これは当方がたびたび主張してきた「闘病ネットワーク圏」と通底する概念であり、その意味で著者の論考に共感するところは多い。ただしインフォコモンズは、たとえば検索エンジンによって検索ごとに可視化されるようなアドホックに生成される領域であり、これは情報探索者の能動的な検索行為のいわば「結果」として立ち現れる(emergence)可変的な領域と言えるだろう。それに対し、闘病者の情報共有圏である「闘病ネットワーク圏」は、闘病者による闘病体験の能動的なアウトプットによって自生的に作られてきた、一定の量と広さを持つ情報共有圏である。そのような差異はあるが、それよりも「パブリックな領域」として情報共有圏が位置づけられているところなど、当方の問題意識と共通する点は多い。 続きを読む

暑中雑感

暑中お見舞い申し上げます。

あまりの暑さに、久しぶりに休暇をとって身体を休めた。わざわざ外出する元気も出ないので、自宅で読書、音楽、酒。音楽はジャズ、サンバ・カンソンからラヴェルまで手当たり次第聞きまくり、しっかりエネルギーを充填した。

先月、高校時代の親友を肺がんで亡くした。また、親戚から従妹が摂食障害との連絡があり、早急に良い治療機関を探さなければならない。このところ、近しい者の死や病に直面する機会が増えている。そのたびに、TOBYOがまだカバーできていないサービス領域の存在を、まるで指弾されているかのような気分になる。はたして遠くへ旅立った親友は、TOBYOを利用してくれていただろうか?。 続きを読む