病院サイトの世界ランキング

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スペインの公的研究機関CSICに属するCybermetrics Labが、世界の病院サイト・ランキングを発表している。 そのTOP1,000を見ると、100位までにランクインしている日本の医療機関は、東京大学医科学研究所(16位)、国立がんセンター(58位)、奈良県立医科大学(91位)となっている。ランキングの方法は「純粋に学術的な観点から」としてあるが、世界ランキングや各地域ランキングをざっとながめると、研究機関や大学病院のウェブサイト中心に選出されており、今一、納得感の低いランキングになってしまっているのが残念だ。

たしかに病院自体のランキングということなら、米国を中心にかなり多くのサービスが提供されているが、病院サイトランキングというのはこれまであまり例がない。また、病院サイトの認定ならHONコードはじめいくつかのサービスがあるが、これらはサイトの相対評価という観点を欠いている。 続きを読む

D2C遺伝子解析サービスの使い方

一昨年から欧米でブレークし始めたD2C(Direct_to_Consumers)遺伝子解析サービスだが、23andMeを実際に利用したユーザーの体験ビデオが公開された。非常にわかりやすい。しかし、このユーザーは結果的に自分のデータまで公開してしまっているが大丈夫か?。最近、ハーバードメディカルスクールのCIOを務めるジョン・ハラムカ氏が、数年間にわたる自己の医療情報をすべてウェブに公開して話題になったが、むしろ自分の医療情報を積極的に公開する動きさえ一部に出てきている。「医療情報をシェアする権利」を最初に主張したのはPatientsLikeMeだが、従来のプライバシー観から逸脱するようなこれらの動きをどう評価すべきか?。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

闘病体験を「物語性」の封印から解放せよ

昨日エントリで、闘病ドキュメントに対する当方の見方の変化について書いたわけだが、結局のところ闘病ドキュメント自体に関与していかなければ、TOBYOが「体験事実とデータ価値」に向けてその利用方法を進化させていくことはないと思う。現在の闘病ドキュメントはネット上に分散して存在している。当然、分散した情報を分散したまま利用するのがネット的なありかたなのだが、そうはいっても検査データの記録方法などは統一しておかないと、多くの闘病者の体験事例を数値データで集約し統計分析することはできない。つまり本当の意味での「データベース」としての使い方ができないわけだ。

現状は、たくさんの闘病者がネットで情報を公開していながら、それらサイトに蓄積されたデータを集計したり相互比較したりすることもできない。せっかく有用なデータがあるのに、それらを効率的に利用する方法が開発されていないのである。物理学者の戸塚洋二さんなども、実はその点を指摘していたわけだが、これを解決するためにはPHRと合体したような闘病サイトサービスを開発し、そこでデータを記録しながら闘病ドキュメントを書いてもらうしかないと思う。このような闘病サイトサービスにはさまざまなアプローチ方法があるだろうが、PatientsLikeMeなどはSNSというアプローチを選択しているわけである。 続きを読む

医療コミュニケーションの視点

先日エントリで日本の医療機関ウェブサイトの現状について、かなり悲観的な見方を書いた。ちょうどハーバードメディカルスクールのCIO(Chief Information Officer)を務めるJohn Halamka氏が、BIDMC(Beth Israel Deaconess Medical Center)のウェブサイトの全面リニューアルについてのエントリをTHCBにポストしたので、改めてこの問題を考えてみた。

BIDMCサイトはMS「SQL Server 2008」上に構築されているのだが、サイト上の様々な機能を、各種アプリケーションプロバイダーから調達し組み合わせて最適化して出来上がったものである。サイト上の各機能とそのプロバイダーは次のようになっている。 続きを読む

「宣言」とHealth2.0

昨日エントリでご紹介した「医療情報の権利」宣言は、今後、私たちがインターネットと医療を考える際の重要な基本指針となるだろう。またHealth2.0ムーブメントが、このような宣言を生み出すところまで来たことを素直に喜びたい。一昨年から始まった、インターネットと医療をめぐる世界的な新たな動き。PHR、問題解決型患者コミュニティ、消費者参加型医療、医療情報の流動性の確保、シェアする権利、・・・・などなど。これまでは、ばらばらに存在しているように見えたこれらすべてを「宣言」が繋ぎ合わせ、めざすべき「近未来医療」の方向性を提示してくれたような気がする。

アダム・ボスワース氏のエントリ「Declaration of Health Data Rights」は是非お読みいただきたい。非常にわかりやすく「宣言」の背景と必要性がまとめられている。これを読みながら、「このような発想は、絶対に医療界内部から出てこないだろうな」という感想を持った。だがこの考察は、よく考えてみると何も目新しいものではない。フツウの患者や消費者なら、誰でも日常的に思っていることや感じていることを、ただまとめて述べたに過ぎない。 続きを読む