「宣言」とHealth2.0

昨日エントリでご紹介した「医療情報の権利」宣言は、今後、私たちがインターネットと医療を考える際の重要な基本指針となるだろう。またHealth2.0ムーブメントが、このような宣言を生み出すところまで来たことを素直に喜びたい。一昨年から始まった、インターネットと医療をめぐる世界的な新たな動き。PHR、問題解決型患者コミュニティ、消費者参加型医療、医療情報の流動性の確保、シェアする権利、・・・・などなど。これまでは、ばらばらに存在しているように見えたこれらすべてを「宣言」が繋ぎ合わせ、めざすべき「近未来医療」の方向性を提示してくれたような気がする。

アダム・ボスワース氏のエントリ「Declaration of Health Data Rights」は是非お読みいただきたい。非常にわかりやすく「宣言」の背景と必要性がまとめられている。これを読みながら、「このような発想は、絶対に医療界内部から出てこないだろうな」という感想を持った。だがこの考察は、よく考えてみると何も目新しいものではない。フツウの患者や消費者なら、誰でも日常的に思っていることや感じていることを、ただまとめて述べたに過ぎない。

以前のエントリで「新しいウェブ医療サービスを生み出すのに、医療専門家である必要はない」と書いたことがある。むしろフツウの患者や消費者の実感やものの見方の方が、医療の専門知識よりも重要なのである。「患者様中心の医療」などと、某国の「将軍様」みたいに祭り上げられながら、実際は「医療者中心の医療」であり、患者・消費者は自分自身の医療情報にさえ自由にアクセスできないのである。これを変えるためには、患者・消費者の視点に立脚すること以上に重要なものは何もないのである。

近未来医療の道筋を切り開くのはフツウの患者・消費者自身である。そのように考えることによってのみ「患者中心の医療」は実現できるのである。そして、そのような発想から始まったのがHealth2.0ムーブメントであり、おそらくこれは近代医療を根底的に変えてしまうほどの潜在的パワーを持っているはずなのだ。しかし、日本ではどうか?。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>