米国HHS(保健社会福祉省)は、YouTubeに公式チャンネル を開設し、新型インフルエンザ予防キャンペーンの一環として公共広告コンテストを実施している。7月9日から8月17日までの応募期間に、広く一般からエントリーされた作品総数は240本で、そのうち予選通過したファイナリスト10本が現在公式チャネルに公開され、9月16日まで一般投票を受け付けている。投票の結果選出された優秀作品には、賞金2,500ドルと全国テレビ放映が提供されるようだ。上のビデオはファイナリストに残った作品のうちの1本。 続きを読む
カテゴリーアーカイブ: 雑記帳
医療分野でTwitterを活用する10の方法
昨日エントリで、災害や感染症のアウトブレーク時にTwitterがライフラインになる可能性などを検討したが、すでに米国CDC(疾病対策予防センター)ではTwitterを使って、新型インフルエンザに関する最新情報を配信している。
8月24日付USA TODAYは“Doctors: A Tweet a day keeps the patients informed”と題し、医療におけるTwitter利用の話題を取り上げているが、「Twitterの医療利用の勧め」として10の利用方法が提唱されている。
- 災害時の警告および対応
- 糖尿病管理(血糖値トラッキング)
- FDA(食品医薬品局)からの薬物安全性警告
- 医療デバイスによるデータ収集とレポーティング
- 看護師や他の医療プロフェッショナルの交代指示
- 診断ブレーンストーミング
- 希少難病のトラッキングとリソースコネクション
- 禁煙支援の提供
- 新米の親に、乳幼児ケアのコツをTwitter配信
- 退院後の患者相談とフォローアップケア
これらを見るといささか不揃いの感もあるが、これからのTwitter医療利用開発のたたきとして十分に使えるだろう。 続きを読む
肺リンパ脈管筋腫症(LAM)克服に挑むオープンソース方式の医学研究開発:LAMsight
またまた「革命」の話で申し訳ないが、春先からGoogleグループの遺伝子解析サービス「23andME」などを中心として、”Research Revolution”というフレーズが語られはじめた。これは難病の新薬や新治療法の研究開発に、クラウドソーシングやオープンソースなどマスコラボレーションの手法を活用し、患者コミュニティのパワーを使って、安く早く疾患を克服することをめざすムーブメントである。すでに23andMeでは「全世界一万人のパーキンソン病患者コミュニティ」設立に着手し、従来の研究開発手法では実現できなかった実験規模、低コスト、そしてスピードでパーキンソン病克服プロジェクトを起動させている。このプロジェクトには難病患者コミュニティPatientsLikeMeも参加しており、大量の遺伝子データ、薬剤服用データ、副作用データなどを活用して、今までにない世界的規模でのパーキンソン病克服への挑戦が始まっている。
8月24日付のNew York Times紙は、これら”Research Revolution”の現況について詳しく報じているが(“Research Trove: Patients’ Online Data”)、その冒頭に肺リンパ脈管筋腫症(LAM)克服をめざすLAMsight が紹介されている。 続きを読む
EHR認証団体に対する利益相反疑惑
このブログでは「医療IT化をめぐる新旧両陣営の戦い」 などのエントリで触れてきたが、総額200億ドルとも300億ドルともいわれるオバマ政権の医療IT促進政策をめぐり、新旧IT企業陣営の戦いは熾烈さを増してきている。
この戦いはまず、米国においてEHR認証をほぼ独占的におこなってきた民間非営利認証団体CCHIT(Certification Commission for Healthcare Information Technology) に対する批判として始まった。このCCHITという民間団体は、2004年に医療IT分野の業界団体であるHIMSS(Healthcare Information and Management Systems Society)との非常に強い結びつきと強力な支援のもとに創設されており、HIMSSの理事がCCHITの理事を兼務し、また主要メンバーが大手医療IT企業であるなど、「業界団体の別動隊」のような性格を持つにもかかわらず、創設以来、米国政府の医療IT政策とくにEHRシステム基準策定と認証に関し独占的な役割を果たしてきたのである。 続きを読む
医療評価: JCAHOに競争をいどむDNV
これまで「医療評価」と言えば、それはJCAHO(現JC) のことを指していた。数年前、私たちは患者視点の医療評価システムを構築しようとしていたが、とにかくまずはともあれ、最初に研究しなければならなかったのはJCAHOの歴史とシステムであった。とにかく「医療評価」の世界でJCAHOを知らなければ話にならない。そのようにJCAHOは間違いなく医療評価のデファクトスタンダードの位置にあり、我が国の日本医療機能評価機構 もJCAHOをモデルとして設立されている。
ところが今年に入って米国の医療ブログ界を見ていると、「ウチの病院はJCAHOの継続加入を打ち切った」などというエントリをあちこちで目にするようになった。「何が起きているのだろうか?」といぶかっていたのだが、ようやく徐々に事情が判明してきた。なんとJCAHOに手ごわい競争相手が現れたのである。そのコンペティターとは、ノルウェイからJCAHOの牙城に乗り込んできたDNV(Det Norske Veritas)である。DNVはノルウェイで1864年に創設され、当初はノルウェイ商船の安全性や技術水準などの海運評価サービスに従事していたが、その後リスクマネジメント分野へ、さらに医療評価分野へと事業領域を拡大していったのである。 続きを読む