Doctors 2.0

The Next Generation of Doctors from Health 2.0 on Vimeo.

「Doctors 2.0」と言えば、このブログでもたびたび紹介してきたニューヨークのジェイ・パーキンソン医師が反射的に思い起こされるが、Health2.0ムーブメントに共感する若い医師が世界中で新しい医師像を模索している。Health2.0サイト でこれら「Doctors 2.0」の動向を伝えるビデオクリップが公開された。

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Health2.0とIx

Health 2.0 meets Ix Opening Video from Health 2.0 on Vimeo.

以前から非常に気になっていたものの、忙しさにかまけて紹介できずにいたのが「Ix」である。Ixとは「Information Therapy」の略で直訳すると「情報治療」となるが、要するに、患者のしっかりした意思決定を支援するための、個人ニーズ特化型のエビデンス・ベース情報提供のことを指すようだ。「薬剤のかわりに医療情報を処方する」ということから、処方箋の略であるRxに代えてIxという略称を用いたようだ。 続きを読む

増えるiPhone向け医療アプリケーション


iPhoneをはじめとして、スマートフォン向けの医療アプリケーションが多数登場してきた。ビデオは、科学&医療アニメーションライブラリーを制作しているblausen medical 。この「Human Atlas V2.0 for iPhone」は教育用アプリケーションで、7000タイトルのアニメーションと13000件のイラストからなる「ビジュアル医療百科事典」のようなもの。誰でも容易に疾患のメカニズムや治療方法などが理解できるようになっている。このビデオでは糖尿病を例にソフトの利用イメージを解説している。

スマートフォン向け医療アプリは、EMRなど医療現場の実務アプリケーションからPHRにいたるまで続々リリースされており、今後、このブログでも取り上げていきたい。 続きを読む

「ペイヤーサイドのEHR」の考察

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今月、米国ミシシッピー州は、ウェブベースのEHR(Electric Health Records)を無料で医師に提供すると発表した。このEHRの目的は、ミシシッピー州在住60万人のメディケイド(低所得者向け公的医療保険)加入者へのサービス向上にあり、加入者の検査データ、投薬、予防接種、アレルギー等についてのデータを集約している。さらに電子処方箋、退院情報へのアクセス、ケアの空隙を特定するための支援ツールなどアプリケーションも提供する。このEHRは基本的にはメディケイドが持っている医療データを集約し、医療現場に無料で提供するものであるが、メディケイド以外の関係機関が保有するデータも集める必要があり、そのためにHIE(health information exchange)ソフトウェアをShared Health社から調達している。

このケースを読んでいろいろ考えさせられたのだが、一言で言うと、これは「ペイヤー(保険者)サイドのEHR」である。従来、EHRと言えば「医療機関のEMRを広域で集約したもの」というふうに、あくまでも医療機関を起点として考えられてきた。だが、個人の医療情報は保険者側の手元にも大量に集まっており、これをDB化すればたちどころに医療機関を横断するEHRになるわけである。そしてこれをウェブベースで運用すれば、医療機関の枠にとらわれずに、患者個人の医療情報をいつでも一か所に集約できるわけだ。なおかつ、医療機関側ではシステム設置コストも運用コストもかからない。ただ医療機関側のEMRとのスムースな情報交換だけが問題になるが、これもHIEを使用すれば解決するわけだ。つまりこのミシシッピー州のケースは、EHRなど医療情報システムのありかたについて、医療機関以外の多様なプレイヤーの多様なイニシアティブによっても、多様に成立することを示している。

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書評:「ウェブはバカと暇人のもの」(中川淳一郎著、光文社新書)

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春から「話題の書」であることは知っていたが、ようやく遅まきながら通読した。本書を読みながら、かつて自分が経験したことがフラッシュバックを伴って思い出された。あれはたしかドットコムバブル崩壊直後の2001-2002年頃だったと思うが、当時、私は広告会社を辞し、ウェブ制作会社で大手通信キャリア企業が運営していた誰もが知っている某ISPポータルのコンテンツ企画・運営に携わっていた。本書にあるエピソードや著者の主張は、当時の私が経験したことや考えていたこととほとんど同一のものだ。だから正直言って、ある意味で「自嘲的な懐かしさ」といった感覚に領されたのは間違いない。

本書でも繰り返し述べられている「B級で、おバカな、エンタメ企画」が、当時、まさにコンテンツ企画の王道であり、またクライアント筋から要求されていたことだ。だがこれら「B級で、おバカな」コンテンツ企画とサイト運営に携わる現場は、やり場のない閉塞感に強くとらわれていたのである。第一、作っていても「面白くない」のである。そして、たまたまある若手タレントを起用した「B級、おバカ」コンテンツが、タレント自身の粗相によって炎上した「事件」を経て、とうとう「こんな世界とは絶縁したい」と決め、その現場から去ったのである。 続きを読む