肺リンパ脈管筋腫症(LAM)克服に挑むオープンソース方式の医学研究開発:LAMsight

LAMsight

またまた「革命」の話で申し訳ないが、春先からGoogleグループの遺伝子解析サービス「23andME」などを中心として、”Research Revolution”というフレーズが語られはじめた。これは難病の新薬や新治療法の研究開発に、クラウドソーシングやオープンソースなどマスコラボレーションの手法を活用し、患者コミュニティのパワーを使って、安く早く疾患を克服することをめざすムーブメントである。すでに23andMeでは「全世界一万人のパーキンソン病患者コミュニティ」設立に着手し、従来の研究開発手法では実現できなかった実験規模、低コスト、そしてスピードでパーキンソン病克服プロジェクトを起動させている。このプロジェクトには難病患者コミュニティPatientsLikeMeも参加しており、大量の遺伝子データ、薬剤服用データ、副作用データなどを活用して、今までにない世界的規模でのパーキンソン病克服への挑戦が始まっている。

8月24日付のNew York Times紙は、これら”Research Revolution”の現況について詳しく報じているが(“Research Trove: Patients’ Online Data”)、その冒頭に肺リンパ脈管筋腫症(LAM)克服をめざすLAMsight が紹介されている。 続きを読む

e-ペイシャント革命


一昨日、「ソーシャルメディア革命」を取り上げたが、今度は「e-ペイシャント革命」である。まぁ、いろんな「革命」が勃発するものだ。この「e-ペイシャント革命」は、どうやらコンファレンスのプロモーションビデオのようだ。「e-Patient Connections 2009」 と題されたこのコンファレンスは、10月26-27日にフィラデルフィアで開催される。

参加費は1,795ドル(!)で参加特典として「8GB iPod Touch」が付くらしい。オマケとしては面白いが、それ以上のものでもない。とにかくこのコンファレンスサイトを見ていると、何かコンファレンス屋の商魂だけが剥き出しで露出しているような感がある。だが、人の商売にケチをつけるつもりもない。

しかし、一方では強い既視感におそわれる。先日エントリでも触れたが、かつて「e-ヘルス革命」とやらが喧伝されていた時分、同時に「e-ヘルスコンシューマーの台頭」ということが言われていた。この「e-ヘルスコンシューマー」とやらが「革命」の主要な担い手であるとかないとか、何かそのような議論があったと記憶する。だが当時からそれらの言説に対し、正直なところ首を傾げざるを得なかった。その牽強付会ぶりに対し、強い違和感があった。今になって明言できるが、「e-ヘルスコンシューマー」などどこにも存在していなかったのだ。 続きを読む

医療評価: JCAHOに競争をいどむDNV

DNV

これまで「医療評価」と言えば、それはJCAHO(現JC)  のことを指していた。数年前、私たちは患者視点の医療評価システムを構築しようとしていたが、とにかくまずはともあれ、最初に研究しなければならなかったのはJCAHOの歴史とシステムであった。とにかく「医療評価」の世界でJCAHOを知らなければ話にならない。そのようにJCAHOは間違いなく医療評価のデファクトスタンダードの位置にあり、我が国の日本医療機能評価機構  もJCAHOをモデルとして設立されている。

ところが今年に入って米国の医療ブログ界を見ていると、「ウチの病院はJCAHOの継続加入を打ち切った」などというエントリをあちこちで目にするようになった。「何が起きているのだろうか?」といぶかっていたのだが、ようやく徐々に事情が判明してきた。なんとJCAHOに手ごわい競争相手が現れたのである。そのコンペティターとは、ノルウェイからJCAHOの牙城に乗り込んできたDNV(Det Norske Veritas)である。DNVはノルウェイで1864年に創設され、当初はノルウェイ商船の安全性や技術水準などの海運評価サービスに従事していたが、その後リスクマネジメント分野へ、さらに医療評価分野へと事業領域を拡大していったのである。 続きを読む

Doctors 2.0

The Next Generation of Doctors from Health 2.0 on Vimeo.

「Doctors 2.0」と言えば、このブログでもたびたび紹介してきたニューヨークのジェイ・パーキンソン医師が反射的に思い起こされるが、Health2.0ムーブメントに共感する若い医師が世界中で新しい医師像を模索している。Health2.0サイト でこれら「Doctors 2.0」の動向を伝えるビデオクリップが公開された。

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Health2.0とIx

Health 2.0 meets Ix Opening Video from Health 2.0 on Vimeo.

以前から非常に気になっていたものの、忙しさにかまけて紹介できずにいたのが「Ix」である。Ixとは「Information Therapy」の略で直訳すると「情報治療」となるが、要するに、患者のしっかりした意思決定を支援するための、個人ニーズ特化型のエビデンス・ベース情報提供のことを指すようだ。「薬剤のかわりに医療情報を処方する」ということから、処方箋の略であるRxに代えてIxという略称を用いたようだ。 続きを読む