e-ペイシャント革命


一昨日、「ソーシャルメディア革命」を取り上げたが、今度は「e-ペイシャント革命」である。まぁ、いろんな「革命」が勃発するものだ。この「e-ペイシャント革命」は、どうやらコンファレンスのプロモーションビデオのようだ。「e-Patient Connections 2009」 と題されたこのコンファレンスは、10月26-27日にフィラデルフィアで開催される。

参加費は1,795ドル(!)で参加特典として「8GB iPod Touch」が付くらしい。オマケとしては面白いが、それ以上のものでもない。とにかくこのコンファレンスサイトを見ていると、何かコンファレンス屋の商魂だけが剥き出しで露出しているような感がある。だが、人の商売にケチをつけるつもりもない。

しかし、一方では強い既視感におそわれる。先日エントリでも触れたが、かつて「e-ヘルス革命」とやらが喧伝されていた時分、同時に「e-ヘルスコンシューマーの台頭」ということが言われていた。この「e-ヘルスコンシューマー」とやらが「革命」の主要な担い手であるとかないとか、何かそのような議論があったと記憶する。だが当時からそれらの言説に対し、正直なところ首を傾げざるを得なかった。その牽強付会ぶりに対し、強い違和感があった。今になって明言できるが、「e-ヘルスコンシューマー」などどこにも存在していなかったのだ。

そしてこんどは「e-ペイシャント」である。20世紀のマーケティングの世界では、「まったく新しい消費スタイルを持つイノベータ層の登場」みたいなことが、常に話題にされてきた。だが、今にして思えばこれらのほとんどは、講演会屋や評論家や業界ジャーナリズムが、自分たちの商売のネタとしてでっち上げたものに過ぎなかった。そして不思議なことに、これらは何度も繰り返されながら、誰も異論をはさむ者はなかったのである。いわば「仕掛け」はみな承知しながら、あえてそのことを問題にするのも無粋であるかのような、そんな暗黙的了解さえあったかのようである。

だが、ありもしない「トレンド、クラスター、ライフスタイル」などをもっともらしく生み出し、非生産的な議論を起こし、自家消費していくような構造を絶たない限り、マーケティングがこの時代に再生する見込みはないだろう。このコンファレンスサイトを見ながらそんなことを考えた。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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