今週からいきなり秋めいてきたが、TOBYOプロジェクトはいくつかの修正をしながら、今年後半へ向けて動き始めている。TOBYO自体の機能改善は引き続き進めているが、他方、ビジネススキームもさまざまな方々と相談をしている。
まずTOBYOの機能改善では、検索エンジンの精度向上と機能強化に取り組んでいる。従来、クローラーのパーフォーマンスが問題となっていたが、これにかわる新たなクローラー開発を進めているところだ。本文抽出や重複データチェックなどで大幅な精度の向上を目指している。とにかくバーティカル検索エンジンはTOBYOプロジェクトの要となるユニットであり、この改善強化のプライオリティは高い。文字通りの「世界初の闘病体験全文検索エンジン」として、さらに「闘病情報の社会インフラ」として、さまざまな方々に使っていただけるよう、今後もここに注力していきたい。また機能以外の改善として、以前にも触れたように、収集している闘病情報を品質の観点から見直し、情報収集方法のわかりやすさにも留意していきたいと考えている。TOBYOは会員ユーザーと当方スタッフが、ネット上に公開されている闘病体験ドキュメントにメタデータを付しながら、みんなで闘病体験を収集整理していくプロジェクトである。TOBYO会員ユーザーは自分の闘病サイト情報のみならず、他人のサイトもTOBYOに収録できるのだが、どうやらこのあたりの周知が十分でないようだ。また、会員やスタッフによって集められた闘病ドキュメントを、これまで偽装サイトや商用サイトを除いて、原則として全部収録してきたが、これも今後は情報品質の観点から吟味選考していきたい。実は、これには随分迷った。「編集」みたいなことは、極力避けたいと考えていたからである。
だが現実には、ネットリテラシーの問題やコンテンツのクオリティの問題などがあり、すべてを無条件で収録するわけにはいかないことが明らかになっている。また、収録情報量が増加するにつれ、逆に有用な闘病情報へのアクセス効率は下がってくるわけで、むしろ今後は「良質な情報をいかに提供するか」へサービスの重点を移さなければならないと考えている。それに付随する、たとえば優秀闘病サイト顕彰、標準闘病ドキュメントフォーム公開、TOBYO収録基準公開などを実施して行きたい。
三宅 啓 INITIATIVE INC.