米国EMR導入の現状: CBS”Sunday Morning”より


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9月13日のCBS”Sunday Morning”がEMR導入をめぐる米国における諸問題を取り上げている。これは”Charting a New Course”と題するニュースレポートで、現在オバマ政権が進めようとしている医療IT化政策が直面する問題を、非常に手際よくまとめている。

だが、このレポートでは肝心なところが抜け落ちている。これまで医療IT化が遅々として進まなかった原因は、医療現場や予算や「プライバシー&セキュリティ」問題だけではない。この春からの「CCHIT認証問題」や「EHR1.0批判」などで明らかになったように、旧来の医療ITベンダが提供してきた「過剰装備でコスト高の”完全無欠システム”」の問題が大きい。

●記事: “Charting a New Course” 

三宅 啓  INITIATIVE INC.

次世代ワイヤレス患者モニタリングシステム: MBANs


米国FCC(連邦通信委員会)は、次世代のワイヤレス患者モニタリングシステム「MBANs」(Medical Body Area Network systems)の周波数帯割り当てと運用へ向けた技術とサービスの基本ルールを提議した。MBANsは当面医療施設内部での利用が想定されており、体温、脈拍、血糖値、血圧、呼吸機能などデータを、患者が直接装着する計測デバイスからワイヤレスでダイレクトに施設内ハブへ送信し、どこからでも医療者がモニタリングすることが可能になり、データをEMRに保存し医療スタッフ全員でリアルタイムに共有することができる。患者は、これまでのように接続ケーブル類に身体を拘束されることがなく、体位や移動の自由度が増す。また、計測機器類の設置場所などに患者をとどめ置く必要もなくなり、「場所の制約」から自由な医療提供が可能となり、医療品質の向上が期待できる。 続きを読む

シフトするEHR認証基準: 技術基準から「意味ある利用」(Meaningful Use)へ

春先から米国ではEHR認証問題で論争が巻き起こってきたのだが、その中で登場したキイワードが「意味ある利用」(Meaningful Use)である。これら一連の論争の背景には、オバマ政権の医療IT促進政策、とりわけ巨額のEHR補助金をめぐる新旧医療IT陣営の戦いがある。

従来からプロプライエタリな「クライアント/サーバ・モデル」のEHRを手掛けてきたITベンダー各社に対し、「時代遅れでコスト高、しかも相互運用性が低い」との批判が高まり、この批判はさらにこれまで独占的にEHRの技術基準を定め認証を行ってきたCCHIT(Certification Commission for Healthcare Information Technology)およびそれを支援するITベンダー業界団体(HIMSS)に対する「利益相反」批判へと拡大したのである。(「EHR認証団体に対する利益相反疑惑」

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i-Japan戦略 2015

医療情報はウェブ上に氾濫しているが、本当に自分にとって必要な情報が見つからない。依然としてこのような消費者、闘病者にとっての「現実」が存在しており、これをどう解決するかが、ウェブ医療情報サービスに問われているのである。そして皮肉なことに、最も入手が難しいのが自分の健康状態に関する医療情報である。自分に関する医療情報は医療機関のEMRやEHRに蓄積されているはずだが、その情報に消費者・闘病者が直接自由にアクセスすることはできない。「自分に関する情報」であるのに、それにアクセスすることさえできないという、きわめて理不尽な状況がある。

たしかにEMRやEHRは医療者側の業務システムであり、消費者・闘病者がアクセスすることは想定されていない。だがこれでは消費者・闘病者側が自分の健康に関心を持ち、あるいは主体的に自己の疾患と向き合うことはできない。そこでPHRが必要になってくる。

先週、日経夕刊で政府の「電子私書箱」構想の記事を目にした。ここ二-三年の間に、たびたび目にしてきた「電子私書箱」だが、記事にはPHRに近い機能が盛り込まれているように書かれていた。また昨年来、経産省が中心になって「日本版PHR」の研究会や実証実験が進められていることも承知しているが、正直のところ、これら官庁主導プロジェクトを積極的にトラッキングしようという意欲も関心も薄れるばかりだ。久しぶりに「電子私書箱」や「健康情報活用基盤構築のための標準化及び実証事業」などの動向を少し調べてみたが、「電子私書箱」については、6月30日に発表されたグランドデザイン「i-Japan 戦略2015」における「各論」という位置づけになっていることがわかった。 続きを読む

米国HHSがYouTubeで新型インフルエンザ予防公共広告コンテストを実施


米国HHS(保健社会福祉省)は、YouTubeに公式チャンネル を開設し、新型インフルエンザ予防キャンペーンの一環として公共広告コンテストを実施している。7月9日から8月17日までの応募期間に、広く一般からエントリーされた作品総数は240本で、そのうち予選通過したファイナリスト10本が現在公式チャネルに公開され、9月16日まで一般投票を受け付けている。投票の結果選出された優秀作品には、賞金2,500ドルと全国テレビ放映が提供されるようだ。上のビデオはファイナリストに残った作品のうちの1本。 続きを読む