米国FCC(連邦通信委員会)は、次世代のワイヤレス患者モニタリングシステム「MBANs」(Medical Body Area Network systems)の周波数帯割り当てと運用へ向けた技術とサービスの基本ルールを提議した。MBANsは当面医療施設内部での利用が想定されており、体温、脈拍、血糖値、血圧、呼吸機能などデータを、患者が直接装着する計測デバイスからワイヤレスでダイレクトに施設内ハブへ送信し、どこからでも医療者がモニタリングすることが可能になり、データをEMRに保存し医療スタッフ全員でリアルタイムに共有することができる。患者は、これまでのように接続ケーブル類に身体を拘束されることがなく、体位や移動の自由度が増す。また、計測機器類の設置場所などに患者をとどめ置く必要もなくなり、「場所の制約」から自由な医療提供が可能となり、医療品質の向上が期待できる。このFCCのMBANs構想発議は、もともとGE HealthCareから出された要求書に応えたものであり、すでに同社はMBANs上で稼働する”Body Sensor Network” 開発に着手しはじめている。上のビデオはそのシステム概要を説明したものである。FCCは同社が要求する「低出力、短距離、ワイヤレス」な医療機器ネットワークが、次世代院内ネットワークとして非常に有望であると判断し、正式に帯域割り当ておよび技術とサービスのルール作りに乗り出した。
かつて「ユビキタス医療」などという言葉が流行った時期があったが、ようやくその実現へ向けた具体的な動きが始まったようだ。注目していきたい。
三宅 啓 INITIATIVE INC.