dimensionsのカスタム・サービス

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国内初の患者体験データベースにして患者リスニング・プラットフォームであるdimensionsは、以前にも触れたようにベーシックとカスタムの二つのサービス・メニューから成っている。ベーシックは病名ごとのバーティカル検索と諸条件によるフィルタリングが可能な全文検索エンジン「X-サーチ」、そして固有名詞出現を病名、薬品、医療機関、検査・機器、治療法の五つの次元でリスト出力する「distiller」の二つのツールによって構成されている。

dimensions本体は400万ページの患者体験ドキュメントのデータベースと付属検索機能としての「X-サーチ」であり、distillerはそのデータベースの出力ツールの一つという位置づけになり、今後はdistiller以外にもツールを増やしていきたい。

対してカスタム・サービスだが、これは患者体験データベースからユーザーのリクエストに応じ、さまざまな形でデータ出力をしていこうという考え方であったが、どうも漠然としすぎており、標準メニュー化が必要だと思っていた。そこでカスタム・サービスの標準メニューとして、当面、次の二つのサービスを追加する。

1.患者サマリー

個々の患者ヒストリーをワークシート一枚に時系列で切り出し、個別サイト検索機能を付加する

2.テキストマイニング・レポート

特定病名の患者ドキュメント集合からキイワードを抽出、数量化、集計の上、相互関係と患者評価を視覚化

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リスニング・リサーチの時代へ

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リスニング・リサーチの決定版教科書とも言うべきステファン・ラパポートの“Listen First !”だが、やっと日本語訳の来年三月出版が決まったようだ。まだまだ日本では「リスニング」ということの認知が低いが、来年からこの本をはじめとして広く知られるようになるだろう。

というか当方など、この夏からあちこちでいわばリスニングの啓蒙プレゼンをやっているようなものだが、この「リスニング」という言葉に対する反応は、意外感はあっても納得感にはまだ遠いというのが現状だ。どうやらレガシー調査のフレーミングを脱するには、今少し時間がかかりそうだ。

dimensionsは日本で初の患者の生声を傾聴するためのリスニング・プラットフォームであるが、プラットフォームと呼ぶにはまだその最小限の機能を実装したにとどまる。むしろ現状は「患者体験のデータベース」と言う方が近いだろう。データベースだからとにかく全文検索機能がなければ話にならない。dimensionsはこれに医療分野キイワードごとのデータリスト出力機能を備えている。 続きを読む

データ・ルネッサンス

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スティーブ・ジョブズ逝く。享年56歳。その偉大なチャレンジ精神に敬意を表し、ご冥福を祈りたい。

この春からMacBook Airを使いはじめたが、たしかにこのユーザー・エクスペリエンスは、Windowsマシンで得られることはないものだ。そう言えば、昔、AppleⅡ j-Plusを大枚はたいて買って以来だから、実はもう30年近いAppleユーザーであるとも言えるのだが、その間、長期にわたってDOS→Windowsがメインになっていた。AppleⅡはまだ押入れにしまったままで、「そのうち定年になって時間ができたら、いろいろいじって遊んでみよう」などと考えていた。しかし、その「定年」近い年齢になって、まさか「ベンチャー」をやっていようとは思ってもいなかった。

さてdimensionsはやっとありがたくも成約段階まで来たが、その後いくつか改善点が判明し、現在そのための最終チューニングに取り組んでいる。また昨年来、このブログであれこれdimensionsの価値や意義というものを思考実験してきたが、最近考えているのは前回エントリでも触れた「ビッグ・データ」との関係である。

たしかに、TOBYOからdimensionsへ続く私たちのプロジェクトは、ビッグ・データをめぐる今日の「データ・ルネッサンス」と交差していくことになるだろう。日々、おびただしい量の患者体験ドキュメントが生み出されネットに公開されているが、このような人間が作る医療データだけではなく、今後は各種センサーやガジェット類など、機械が医療データを量産し、ネット上に大量に自動送出することになるだろう。この両方の医療ビッグ・データをアグリゲートし構造化するサービスが求められるわけだが、もちろん私たちのdimensionsはその一翼を担うものであると考えている。

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Across The Universe


もう9月。早いなあ。あっという間に夏が立ち去って行った。今年ももう三分の二が過ぎた。暑い夏だったが、TOBYOプロジェクトは着実に前進した。dimensionsは7月にサービスインしたものの、その後、マシン・リソースを見なおし、マシン構成を組み替えてきたが、システム全体がスムーズに稼働するまでにかなり時間を要した。特にディスティラーがかなり計算パワーを費消することがわかったが、あえて「こちら側」に計算マシンを配置することで乗り切った。24時間マシン稼働体制なので、夜間の排熱には気を使った。暑い夏の夜が一層熱くなったわけで、秋風が吹きはじめてほっとしている。

またこの夏、dimensionsのプレゼンを何回かやったが、そのたびにスライドを修正することになった。それは主として闘病ユニバースの扱いをめぐってであり、TOBYOプロジェクトの原点とも言うべきこの闘病ユニバースの重要性は、いくら強調しても強調しすぎることはない。TOBYOプロジェクトが他の医療情報サービスと異なるのは、この闘病ユニバースというまさにネット的な存在に立脚しているところだと思う。 続きを読む

TOBYO事典とX-サーチ

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8月が終わる。一時期涼しかったものの、最近ではまた蒸し暑さが戻ってきた。しかし夜には、あちこちでコオロギが鳴き始めている。

さて、TOBYOで公開している検索エンジン「TOBYO事典」とdimensionsで提供する検索エンジン「X-サーチ」の関係をよく尋ねられることがある。どちらもバーティカル検索エンジンではあるが、実のところ両者はまったく別物で、採用しているプログラム・システム自体が異なっている。

またどちらもTOBYOが可視化したデータを扱ってはいるが、対象としている時期が異なっている。守備範囲が違うのだ。TOBYO事典はあくまでテスト運用ということもあり、一昨年末までのデータを検索対象としており、その後の更新はしていない。対してX-サーチは広く最新データまで対象としている。従って検索対象サイトも、TOBYO事典が約1万4千サイトであるのに対し、X-サーチでは約3万サイトになっている。 続きを読む