dimensionsと日本の医療マーケティングの現状

Gyoen_promenade_summer

いろいろなところへお邪魔し、Mac Book Airでプレゼンしているが、相手先プロジェクタとのマッチングに手間取ることがある。ほとんどの企業ではXGAがデフォルトの解像度設定であり、WXGAなどワイド画面対応はまだ少ないようだ。春以来、プレゼンはすべてKeynoteのワイドモード画面で作っているので、今更、「4:3」画面に戻るのもめんどうだし、Lionの新機能を使って、複数のデスクトップ間とアプリ全画面表示をスピーディーに切り替えたり、Safariでページを高速移動することができず、テンポのある見せ方ができなくなってしまう。困ったものだ。

さて、この夏、dimensionsのサービス構成を見なおしてきた。いろいろな方々からのご要望を傾聴し、また価格メニューなどはっきりしていなかった部分を明確化した。それによって、dimensionsのサービスメニューは大きく「dimensions BASIC」と「dimensions CUSTOM」に分けることになった。

「BASIC」では、広大な闘病ユニバースの中を、ユーザーが縦横に探索するための汎用ツールを提供する。当面の提供ツールはディスティラーとX-サーチだが、これは今後増やしていきたい。「CUSTOM」だが、こっちは文字通り、カスタム・ソリューションのためのデータ集計および出力などのサービス群から成っている。二つにサービスを分けることは、これまでもぼんやりとイメージしていたのだが、あらためて明確化したほうが良いと判斷した。 続きを読む

dimensionsとマーケティング・リサーチ革命

2011年7月度Jmrx勉強会資料

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昨年来、開発に取り組んできた”患者体験傾聴システム=dimensions”。前例のないまったく誰もやったことのないシステムであるだけに、その位置づけや提供価値をめぐり、開発当事者である私達自身が逡巡の末、何度も修正を重ねてきた経緯がある。幸いにもイスラエルのFirst Life Researchが、私たちと似た発想を持つプロジェクトであることが分かり、意を強くしたが、それでも自分たちがやっていることが今日のシーン全体の中で一体どこに位置するのか、視界不良のまま進んでこざるを得なかった。

だが、やがて徐々に視界は晴れ上がってきた。そして、決して自分たちが孤独ではなかったことも、今ではよく分かっている。これらはHealth2.0ムーブメントによってではなく、意外にも世界のマーケティング・リサーチ・シーンでここ数年起きている、また日本ではこれから起きようとしている「革命」の存在に気づくことによって分かったことだ。私たちは無意識のうちに、この「革命」に歩調を合わせ、同じ方向を目指していたのである。 続きを読む

新サービス「闘病CHART」: 患者話題ランキングとバーティカル検索の連動

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暑い。日本全国、夏休み。それでも熱く仕事は続く。熱気を帯びて湯気の出るアイデア創発も続く。冷蔵庫で美味しそうにゴロンと冷えているビールとスイカが力源だ。

先月サービスインしたdimensionsは、おかげさまで早速各方面から強い関心とお声がけを頂戴している。ところで先日エントリ「dimensionsの基本フレーム」 でも触れたが、実際にシステムを運用ベースにのせてみると、かなりのリソースが必要になることが分かってきた。特に全体としてデータ処理のスピードアップが求められるため、目下、従来のリソース・システムを組み替え、新システムへ移行中である。

さて表題の「闘病CHART」であるが、これはdimensions開発の成果を、今度はTOBYOや他の患者向けサービスへ転用しようというものだ。たとえば「乳がん患者が話題にしている薬品ベスト20」、「アトピーの患者が話題にしている治療法ベスト20」、「胃がん患者が話題にしている病院ベスト20」など病名別チャートを設置し、チャートインしたアイテムをクリックすればバーティカル検索をかけ、即座に薬品名など各アイテムについての患者の体験とレビューを表示するサービスだ。

これは、dimensionsのディスティラー(Distiller)が実現しているキイワード抽出およびリスティング機能に基づいている。ディスティラーでは病名ごとに上図のようなリストを作っているが、ある時、このリストを見ながらその意味を考えているうちに、これが患者がネット上で言及している「薬品、治療法、医療機関、検査・機器」分野それぞれの話題ランキングであることに気づいた。

これらのランキングはTOBYOのサイト属性データをベースとしており、特定病名ごとの患者ドキュメントを正確に切り出すことができる。つまり、たとえば乳がんの患者だけ、肺がんの患者だけ、関節リウマチ患者だけの話題薬品ランキングを最新チャートとして提供できる。そしてこのチャートとTOBYO事典を組み合わせることで、チャートインした個別アイテムの患者体験検索が即座に可能となる。 続きを読む

自発性、回答者A、不揃いなる事実

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dimensionsで扱うデータは、私たちが闘病ユニバースと呼んできたウェブ上に公開された闘病者のドキュメントである。これらのデータはどのような特徴を持っているのだろうか。患者アンケートやヒアリングなど他の患者ソースのデータと、どこがどのように違うのだろうか。

TOBYOプロジェクトを開始するに当たって、私たちは闘病記というものを改めて考察するところから出発し、ウェブ上の患者ドキュメントの性質をさまざまな角度から見てきた。その過程で、まず従来のリアル闘病記、つまり本としてパッケージ化された闘病記とウェブ上の闘病ドキュメントの差異を考えざるを得なかった。しばしば「われわれはネットから医療を見ている」という言い方をしてきたが、実はこのような考え方は、リアル闘病記とウェブ闘病ドキュメントの差異認識に由来するものである。だがこのことについては、後日、あらためて論じる機会があると思う。

さて、ウェブ闘病ドキュメントと患者アンケートやヒアリングなど患者調査データとの違いであるが、まず一番大きな違いは、なぜそのようなデータが作成されたのかをめぐるデータ生成の動機である。ウェブ闘病ドキュメントはあくまで闘病者自身のため、すなわち純粋に「自分のために書く」ことが動機になっており、それは闘病者自身の内発的な自発性だけに依拠している。対して患者調査では、データ生成動機は闘病者の内部には存在せず、リサーチャーやモデレータなど外部の第三者が闘病者とは無関係に作成した調査目的に依存している。
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夏のライオン

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昔、「冬のライオン」という映画があったが、先週、夏のライオンが「こんにちは!」とやってきた。Mac OSⅩのニューバージョン「Lion」である。実はこの2月からMacBook Airを使い始めた。OSのバージョンは「Snow Leopard」で、壁紙の雪片を頭に載せた雪豹が、どことなく愛嬌があって気に入っていた。

そして、とにかくMacBook Airというマシンが良く出来ているのだ。その薄さとシンプルなデザインは感動ものでさえある。久しぶりに、使うのがワクワクするようなマシンに出会ったと思った。プレゼン用に買い求めたのだが、Keynoteが良い。もうPowerPointには飽き飽きしていたが、いざKeynoteを使ってみると、思い通りのページが簡単に作れることがわかった。とにかくシンプルで使いやすい。その昔、ワード、エクセル、パワポを使うためにWindowsマシンを使っていた時期があったが、考えてみると、ワードもエクセルもまったく使わなくなった。Googleドキュメントで十分だ。パワポだけが残ったが、これもKeynoteにリプレースしてしまいたい。つまり、もうWindowsを使う必要が全くなくなってしまったのだ。今後は全面的にMacへ移行することになるだろう。 続きを読む