三宅 啓 の紹介

株式会社イニシアティブ 代表 ネット上のすべての闘病体験を可視化し検索可能にすることをめざしています。

患者SNSと遺伝子解析サービスの提携

Patient23
米国の代表的患者SNSであるPatientsLikeMeと、Googleの遺伝子解析サービス会社である23andMeが6月9日、パーキンソン病克服プロジェクトで提携することを発表した。すでにこのブログでも取り上げたが、この春、両社はお互いに似たようなプロジェクトを相次いで起動している。PatientsLikeMeは、ALS患者コミュニティ向けに遺伝子検索エンジンの提供を開始し、ALSの原因と結果の解明および治療方法開発を加速化することを発表した。一方、23andMeは全世界から1万人のパーキンソン病患者を集めて大規模コミュニティを立ち上げ、同社の持つ遺伝子解析技術をもとに、パーキンソン病の原因と結果の解明を早めると発表している。

ALSとパーキンソン病と対象疾患は異なるものの、両社のプロジェクトは「遺伝子、コミュニティ」という共通キイワードで括ることができ、しかもまったく同じ目標を持っていたのである。「ここまで似ているのなら、一緒にやればいいのに」と思っていたが、案の定、両社の提携が正式に発表された。 続きを読む

一日だけの闘病

今朝起きると頭が割れるように重く、身体はコントロールを失いふらつくありさま。体温をはかると38.1度であった。ひたすら安静にして熱が下がるのを待ったが、体温はその後も上昇し38.7度に達した。39度になったら医者へ行こうと考えたが、「ひょっとして新型インフルエンザか?」という懸念も頭をもたげてきたのである。「闘病記を書かないとなあ」などと考えもした。だが昼頃に発汗があり、熱は下がり始めた。さっき(15時)はかってみると37.5度。山は越えたようだ。新型インフルエンザではなく、ただの風邪だったようだ。 続きを読む

日本のHealth2.0経済圏の創造へ向けて

昨日、ある大学医学部の先生からメールを頂戴した。見ると、TOBYOプロジェクトが事業としてどのように持続していくのかについて、率直な感想や質問が書かれていた。たとえばTOBYOに広告バナーが貼られていないのは清々しいが、一体、売上はどうなっているのかなど、まことにごもっともなご質問である。実はこのような質問は、これまで様々な方々からしばしば頂戴している。中には、真剣に深く心配までして下さる方もおられ、恐縮の至りである。

TOBYOのビジネスモデルについて、このブログでは何度か考え方や方向性は述べてきたのだが、具体的なディテールまで説明したことはなかった。構想はいくつもあり検討も進めてはきたのだが、いかんせん「いまだ機は熟さず」という思いが先に立ち、計画を立案し行動するまでには至らなかった。ではいつになったら「機が熟す」のかと言えば、収録闘病サイト数が1万5千サイトを超え、バーティカル検索エンジンで全文検索できるサイトが1万サイト以上になった時だと決めていた。そしてようやく最近になって、これらの条件はクリアされたのである。すなわち機は熟した。いよいよビジネスモデル構築へ向け本格的に動き出す時だが、それに関連して次のようなことを考えている。 続きを読む

TOBYOプロジェクト:年内の予定

前回エントリでも少し触れたように、TOBYOプロジェクトの次のビジョンについても考えているが、一方では当面取り組まなければならないタスクが山積み状態である。次のような目標を念頭に置いて、全体の進行イメージを描いている。

2009年末時点のTOBYOプロジェクト到達目標

  1. 収録闘病サイト: 2万サイト
  2. 収録病名数: 900件
  3. 検索対象サイト: 約1万5千サイト
  4. 検索対象ページ総数: 約300万ページ

今年の年末には、TOBYOは以上のような規模になっているはずである。ウェブ上の闘病サイト総数はおよそ3万と推定されるが、年内には少なくともその3分の2を可視化し、2分の1を全文検索できるようにしたい。しかし収録サイト数など規模が大きくなるにつれ、個々の闘病サイトや闘病体験に関する情報のファインダビリティ(見つかりやすさ)は低下するので、これらの対策も考えている。新しいコーナーを設置することになるだろう。 続きを読む

闘病情報の標準化について

ずいぶん時間はかかったが、TOBYOプロジェクトは闘病ユニバースのうち約1万6千件の闘病サイトを可視化し、「1万人が書いた闘病記の全文検索」を実現するところまで来た。もちろん今後も、引き続き闘病ユニバースの可視化件数を増やし、検索精度の向上に努めていかなければならないのだが、実は次のステップについてもビジョンづくりを進めている。

まだボンヤリしたイメージに過ぎないし、言葉としても練れていないのだが、次に私たちが取り組むのはおそらく「闘病情報の標準化」というテーマになると思われる。現在、TOBYOプロジェクトが取り組んでいるのは、ウェブ上に分散する不定型な闘病体験情報を分類整理し検索可能にすることだ。このことによってはじめて、自発的に形成された闘病ユニバースにすでに存在する膨大な量の体験情報が、誰にでも簡単に活用できるようになる。だが、これら闘病体験情報は不定形であるがゆえに、相互に比較しにくく、統計処理もしにくいような定性的データである。つまり「個別闘病者の個別体験」という自己完結性を強く持ち、それらを横断的に比較参照して「何かについての評価をおこなう」ようなデータではない。この際の「評価」とは、まず端的に言って「医療機関評価」ということになるだろうが、さらに「医療者、治療法、薬剤、医療費の評価」へと展開されるだろう。 続きを読む