三宅 啓 の紹介

株式会社イニシアティブ 代表 ネット上のすべての闘病体験を可視化し検索可能にすることをめざしています。

ゲンバッテください!

BIDM(Beth Israel Deaconess Medical Center in Boston)のポール・レヴィ院長のブログ「Running a hospital」を読んでいると、最近、「Gemba」という言葉がしきりに出てくる。「Gembaって何だぁ?ジェンバと読むの?」と、はじめは首をひねって読み流していたのだが、何度も目にしているうちに、次第に語のコンテクストから、「これは、ひょっとしてゲンバ(現場)か!」と類推するにいたった。 続きを読む

慢性疾患のDMポータル


慢性疾患のDM(ディジーズ・マネジメント)ポータルのプレゼンビデオ。この「DMポータル」を手がけたのはZaneNetというベンチャー企業だが、NIH(国立衛生研究所)とハワード大学(ワシントンDC)の共同プロジェクトの一環として開発されたようだ。

慢性疾患の患者と医療者をダイレクトに結び、疾患管理のためのツール群をワンストップで患者に提供しようという狙いらしい。なるほど、疾患管理に必要と思われるツールはほぼ網羅されて「天こ盛り状態」なのだが、どうも総花的でコアになるベネフィットが判然としない。見ていてお腹いっぱいになるのだが、結局、さしたる印象も残らないのはいったい何故なのか。 続きを読む

シェアする権利

昨日に続いてPatientsLikeMe関係の話題になるが、同社経営メンバーであるヘイウッド兄弟の一人ジェームズ・ヘイウッド氏が、最近、同社公式ブログに発表したエントリ「Sharing Is A Right As Well」が話題になっている。

先月、PatientsLikeMeは保健社会福祉省(HHS)人口保健統計委員会(NCVHS)の「プライバシー、守秘義務、セキュリティ小委員会」に召喚され、医療ITとプライバシー問題について証言を求められた。ジェームズ・ヘイウッド氏はこの小委員会に出席し、PatientsLikeMeを代表して同社が考えるプライバシー論を展開したのである。結論から言ってしまえば、従来のプライバシー観に対し、ジェームズ・ヘイウッド氏は人々が互いに「情報をシェアする権利」を対置し、プライバシー至上主義を批判して見せたのである。見事である。 続きを読む

米国患者SNSと欧州製薬メーカーの戦略的提携

patientslikeme_ucb

米国の代表的患者SNSであるPatientsLikeMeは、6月15日、ベルギーの製薬メーカーUCB社と共同して癲癇患者プラットフォームを構築する戦略的提携を発表した。このプラットフォームは2010年の早い時期に立ちあげられ、診断・予後・治療計画に関わりなく、とにかく癲癇を患っている患者すべてから得られた情報を収集、分析、研究することをめざしている。

UCB社はベルギーのブリュッセル本社の製薬メーカーだが、特に中枢神経系と免疫不全の分野にフォーカスしており、世界40カ国で1万人の従業員を擁している。同社CEOのRoch Doliveux氏は今回のPatientsLikeMeとの提携について、次のように述べている。

UCBは、長年にわたって過酷な条件にある人々の生活の改善に取り組んできた。今回の提携は、初めて患者に彼らの体験や実環境データで、現在進行中の癲癇研究に貢献することを可能にするという意味でエキサイティングなものだ。

続きを読む

700エントリ目の所感: Consumer-Driven Healthcare

先週、発熱して一日寝込んで以来、体調があまり良くない。週末は外出をやめて自宅で休養に徹することにした。ブログも三日ほど休んだが、実はこのエントリで700回目を迎えることになる。2006年の暮れにブログを始めて以来、主として「海外ブログを読み、考え、ブログを書く」ということを延々と繰り返してきたわけだが、やっているうちに、この方法が非常に生産性の高い学習方法であることがわかった。従来の書籍・新聞・雑誌を手掛かりに個人メモを書く方法に比べると、おそらく知的生産性は数十倍以上になるだろう。 続きを読む