三宅 啓 の紹介

株式会社イニシアティブ 代表 ネット上のすべての闘病体験を可視化し検索可能にすることをめざしています。

継続と切断(2.0をめぐって)

Web2.0から始まってHealth2.0にいたるまで、世の中には様々な「2.0」が現われて、ある意味で食傷気味である。振り返ってみると、web2.0が広く注目を集め出した2005年の時点で、もう既に「2.0」が単なる一時的なファッドやバズワーズであるとの批判が、ブロゴスフィアにはあふれていた。Health2.0についても昨年初頭、この呼称をめぐる論争が、ドミトリー・クルーグリャク氏とスコット・シュリーブ氏らの間で起きていたことも思い出される。

たしかにこの「2.0」という言葉には、単なる流行現象の側面があることは否定できないが、当方はこの言葉にもう少し深い意味を読み取っている。この言葉が、時代の「切断」を最も適切に表現し得ていると考えるからだ。われわれの弛緩した日常感覚は、往々にして世の中を「継続」として無条件に捉えている。実際にはすでに終了していることが明白であるにもかかわらず、この「継続」感によってその「終了」の事実と意味が隠されてしまうことがある。 続きを読む

「闘病ネットワーク圏」の先進性

CarePages

9日(月曜)のワシントンポストに「Patient Web sites used for news, support in crisis」という記事が掲載された。ここで紹介されているのはCareBridgeCarePagesで、当方ブログの以前のエントリで紹介済み(ここここ)だが、両者とも患者簡易サイトのホスティングサービスとして古参と言ってもよいだろう。CarePagesのほうは、スティーブ・ケース氏率いるRevolutionHealthに買収されたようだ。

このワシントンポストの記事を一読して思ったのは、なぜ今頃、CareBridgeやCarePagesを取り上げるのだろうかという素朴な疑問である。TOBYOで闘病記にフォーカスしている当方の目から見ると、CareBridgeもCarePageも、どちらも闘病サイトのホスティングサービスを提供しているわけだ。たしかにブログが登場する以前には、両者とも「簡易ホームページ」を提供してくれるサービスとして、それなりの利用価値はあっただろう。だがブログ登場以降、これらのサービスは明らかに陳腐化しているはずなのだが、それが、いまだにワシントンポストの「ニュース」になっていること自体、不思議に思える。 続きを読む

闘病記と時間

TOBYOベータ版公開時に作ったプレゼンスライドだが、あそこに、闘病者がネット上で自然発生的に形作ってきた「闘病ネットワーク圏」を「宇宙」になぞらえたページがある。実はそれには二つの意味があった。

ひとつは「闘病ネットワーク圏」の空間的な把握の仕方であり、広大なネット上に分散する闘病サイトが、ところどころで同病コミュニティの「星座」を作ったりしながら、その全体が、あたかも見上げた星空に浮かび上がる星図のように見えることを意味している。二つ目に、これら広大な空間に分散する闘病サイトが、実は別々の時間における体験を記録しており、同一空間にありながらそれぞれ固有の時間に属しているという時間的把握の問題がある。 続きを読む

世界へ

transborder

春先に出た海部美知さんの「パラダイス鎖国—忘れられた大国・日本」は多方面で話題になっているが、当方も一読し様々に考えるヒントをいただいた。しかし先週、ある席でTOBYOの今後の計画について、「当面、TOBYOのバーティカル検索対象を、全病名、闘病サイト5000、インデクシング100万ページへ持っていくことに注力したい」と説明したところ、「ではその後、世界へ出て行かれるのですね」とのお言葉を頂戴した。それは正直のところ、当方がまったく予期せぬ質問であった。では、なぜ予期していなかったのかと言えば、まさに当方自身が「パラダイス鎖国」の住人でありその発想に囚われていた、というほかない。 続きを読む

GoogleHealthの全機能を試してみる

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先日公開されたGoogle Health。その全機能を実際に試してみようと、「Google Health試乗会」がウェブスライドで公開された。スライドを作ったのはHealth2.0ムーブメントの仕掛け人Matthew Holt氏。スライドでは、Google Health上の文字が少し読みにくいかもしれないが、実際にGoogle Healthを試用する際の恰好のガイドとなるだろう。