三宅 啓 の紹介

株式会社イニシアティブ 代表 ネット上のすべての闘病体験を可視化し検索可能にすることをめざしています。

闘病体験と固有名詞

先週、「固有名詞によって事実を可視化する」というエントリを書いたが、たまたまというべきか、その数日後、TOBYOも紹介された日経新聞記事の末尾は次のように結ばれていた。

「ただ、中には科学的根拠の乏しい健康食品の購入を呼び掛けたり、宗教の勧誘をしたりするものもある。病院や医師への評価が断定的に書かれ、トラブルになることも。ライフパレットは「病院名を記載しない」などのルールを設けて定期的にチェックし、ルール違反があれば執筆者に注意を促すという。」(日経新聞、6月1日)

ウェブを論評する場合に使用する常套句であり、いわば「お決まりの警告」と言えるだろう。常套句に頼るという無意識の発想も、そろそろ見直すべき時代になってきているのではないか。しかし、それはそれとして、「闘病記に病院名を記載しない」という「ルール」があることを、この記事で初めて知った。 続きを読む

患者SNSと燃え尽き症候群

「米国における唯一正真正銘の患者SNS」とか「最も成功した患者コミュニティ」などと称賛されるPatientLikeMeだが、調査報告書「オンライン患者コミュニティPatientLikeMeの内部における個人医療情報の共同利用:患者が他の患者のデータにアクセスすると何が起きるか?」が「Journal of Medical Internet Research」に発表され、大きな話題となっている。

PatientLikeMeが他の患者SNSと決定的に違うのは、他の患者SNSがどちらかといえばメンバー間の「穏やかな交流」を提供するのに対し、PatientLikeMeだけがメンバー間の徹底的な医療情報共有にこだわっている点であるだろう。また、PatientLikeMeはALSなどの難病をターゲットにしており、「治療方法が確立していない病気と闘う」ための強い目的意識を参加メンバーに求めている点も、他の患者SNSとは際立った違いといえよう。 続きを読む

アイデンティティの分散と集中、そして新しいサービス

最近のウェブ闘病記は当然ブログが中心になっているのだが、それらブログ闘病サイトを注意深く見ていると、一人の闘病者が複数のブログを所有しているケースが多いことに気づく。これには大きく、「A→B→C」とブログホスティングサービスを乗り換えていきながら過去ブログを残存させるケースと、同時に複数のブログを運営するケースとがあるようだ。ホスティングサービスを変えるのは、そのブログに使いたい機能がサポートされていなかったり、デザイン・テンプレートが貧弱である場合などが理由であるが、これまで書きためたコンテンツを持って「引っ越し」するよりは、これまでのコンテンツ資産を置いたまま、「身一つ」で新しいブログへ移るケースが圧倒的に多い。 続きを読む

選択の自由

先週は雑事であわただしく過ごし、ブログの方もおろそかになってしまった。なんだかんだと言っているうちに6月に入り、しかも今日は梅雨入りの可能性まで天気予報で言われている。夏はもうすぐだ。

夏へ向けてわれわれが取り組まなければならないのは、まず、TOBYOの全文検索を全病名へ拡大することである。これができた段階で、名実ともにTOBYOはベータ版となる。春先、アルファ版の段階では、会う人から異口同音に「TOBYOは、結局、闘病記のリンク集なのか?」と言われていた。あの段階では、たとえ闘病記の収録数は大きいとしても、たしかに「リンク集」と言われてもしかたない状態であった。それに闘病記のリンク集なら従来からいくつか存在したし、今後も出てくるだろうが、結局、ある地点まで行ってしまえば「リンク集のジレンマ」とでも言うべき問題に直面するとも思っていた。 続きを読む

日経新聞にTOBYOが紹介されました。

今朝(6月1日)、日本経済新聞の医療欄でTOBYOが紹介されました。

記事にはTOBYOのほか、ディペックス・ジャパンさんとライフパレットさんが紹介され、今日の患者体験共有サービスの概況が報じられています。この記事を読みながら、実は「事実と編集」という問題を考えさせられました。TOBYOの立ち位置についての示唆を得たと思えます。このテーマでエントリも書きかけたのですが、この論考はまた別の機会に譲りたいと考えています。つまり、当方にとっては「テキスト生産性の高い記事」であったと言えます。その意味で日経さんには感謝いたします。

三宅 啓  INITIATIVE INC.