HONコードのツールバー登場

HonCodeToolBar

現在HONコードは、医療情報の品質認証コードとして世界で最も普及している。他にも類似コードはあるのだが、最近の欧米主要医療関連サイトを見ていると、どうやらHONコードが独占的地位を築きつつあるようだ。医療ブログでも、HONコードシールを掲出しているのをよく見かけるようになった。

さて、そのHONコードからブラウザに装着するツールバーが公開された。これによってHONコードに準拠し品質を認証されたサイトを、ブラウザ上で自動的に確認することができる。またツールバー検索窓から、HONコードの認証サイトデータベースを検索することも可能。ブラウザはIEとファイアーフォックスに対応しており、HONサイトからダウンロードできる。 続きを読む

「よりパーソナルな医療」へ向かう消費者ニーズ

Data0905

雑誌「the Journal of General Internal Medicine」6月号に、PHRに関する消費者パーセプションを探る調査結果が発表された。この調査は、ハーバード大学、べス・イスラエル病院、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院、MITなどの専門家によって、全米4ヵ所8グループのフォーカスグループインタビューとして実施された。

調査結果で明らかにされた消費者ニーズを要約すると、次のフレーズになるという。

「私は、この私のことを知っているコンピュータが欲しい」

また、医学的文献をはじめとする医療情報、あるいは今日の医療情報システムが提供している製品やサービスにおいて、最も広範囲に欠落しているのは「普通の人々(regular people)への洞察」であるとしている。さらに興味深い結果として、次の五点が指摘されている。 続きを読む

一万人の闘病者が書いた200万ページの闘病記

今月8日から、日本初の闘病記に特化したバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」テスト版を公開している。今回バージョンの基本データは次のようになっている。

  • 検索対象サイト数: 10,085サイト
    ブログサイト: 8,414サイト
    一般サイト: 1,671サイト
  • 検索対象疾患: 642疾患
  • 検索対象ページ総数: 2,091,610ページ

以前から私たちは、ネット上に自然発生的に作られてきた闘病者のネットワークを「闘病ユニバース」と呼んできたのだが、ここで自発的に生成され蓄積されてきた膨大な闘病体験ドキュメントを、一冊の巨大な闘病記と見なしてもよいだろう。これはおそらく「史上最大の闘病記」であるはずだが、このうち、今のところTOBYOが可視化しているのは1万サイト200万ページである。そしてまた、この「史上最大の闘病記」を次のように表現してもよいだろう。

「一万人の闘病者が書いた、200万ページの闘病記」

続きを読む

メイヨークリニックのソーシャルメディア戦略

一週間前のエントリで、病院のソーシャルメディア利用ガイドを紹介した。(「病院とソーシャルメディア」) その中でも少し触れたが、今度はメイヨークリニックのソーシャルメディア戦略を概観したスライドが発表された。メイヨークリニックは米国医療機関屈指のトップブランドだが、その長期的ブランドアセット構築のために、最も先進的で、戦略的なマーケティングとコミュニケーション活動に取り組んできたことで知られる。

Web2.0に対しても医療機関としていち早く対応し、ブログ、ポッドキャスト、Twitter、YouTubeなどソーシャルメディアを積極的に活用している。以前から「医療情報配信サイト」として注目された「メディカルエッジ」の他に、最近、ソーシャルメディア向けプラットフォームとして「Sharing.mayoclinic.org」を新たに開設したようだ。このことによって、いかに低コストで効果的な社会とのコミュニケーションを生み出すことができるかなど、このスライドでは具体的な例が多くわかりやすい。とりわけ次のフレーズが印象に残った。

Don’t pitch the media
Be the media

続きを読む

英国Dipexサイト「healthtalkonline」

ご報告が遅れたが、5月8日付け毎日新聞「関心高まる闘病記:下 先輩患者の知恵、ネットに」にTOBYOが紹介された。実はこのブログで紹介するかどうか、少し迷った。というのは、また例によって「Dipex Japan」という団体の紹介がメインで、記事の半分強を占め、TOBYOやライフパレットは「刺身のつま」みたいな扱いでお茶を濁されていたからだ。まだ実際に何のサービスも開始していないにもかかわらず、なぜだか毎日新聞はじめマスメディアはこの団体にご執心である。

だが、以前から疑問だったのは、オックスフォード大学から始まったとされるこのDipexが、Health2.0など海外の新しい医療シーンでは、まったく話題にも上がっていない点だ。私は2005年くらいから、海外の新しい医療ITの動向をウォッチしてきたつもりだが、この「Dipex」関連のトピックスやニュースに触れたことは一度もなかったのである。だが、当方の見落としということも当然あるだろう。というわけで「Dipex」の本家本元の英国サイト「healthtalkonline.org」を調べてみた。 続きを読む