今月8日から、日本初の闘病記に特化したバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」テスト版を公開している。今回バージョンの基本データは次のようになっている。
- 検索対象サイト数: 10,085サイト
ブログサイト: 8,414サイト
一般サイト: 1,671サイト - 検索対象疾患: 642疾患
- 検索対象ページ総数: 2,091,610ページ
以前から私たちは、ネット上に自然発生的に作られてきた闘病者のネットワークを「闘病ユニバース」と呼んできたのだが、ここで自発的に生成され蓄積されてきた膨大な闘病体験ドキュメントを、一冊の巨大な闘病記と見なしてもよいだろう。これはおそらく「史上最大の闘病記」であるはずだが、このうち、今のところTOBYOが可視化しているのは1万サイト200万ページである。そしてまた、この「史上最大の闘病記」を次のように表現してもよいだろう。
「一万人の闘病者が書いた、200万ページの闘病記」
今まで、官庁や医療機関や研究機関などが、集めようにも集めることが不可能であった夥しい規模の具体的な闘病体験集合が、インターネットと闘病者の自発的参加原理によって、誰に命令されたのでもなく、ひとりでにいつの間にか蓄積されていたのである。これは実に驚くべきことである。そして、このことに「素直に驚く」ことができるか、それとも「そんなことはわかりきったことだ」と無視してしまうかによって、この「史上最大の闘病記」の見え方は変わってくる。
「驚くこと」しかも「素直に無心に驚くこと」は、現実を把握するための一つの基本的な「能力」なのだから。
三宅 啓 INITIATIVE INC.