メイヨークリニックのソーシャルメディア戦略

一週間前のエントリで、病院のソーシャルメディア利用ガイドを紹介した。(「病院とソーシャルメディア」) その中でも少し触れたが、今度はメイヨークリニックのソーシャルメディア戦略を概観したスライドが発表された。メイヨークリニックは米国医療機関屈指のトップブランドだが、その長期的ブランドアセット構築のために、最も先進的で、戦略的なマーケティングとコミュニケーション活動に取り組んできたことで知られる。

Web2.0に対しても医療機関としていち早く対応し、ブログ、ポッドキャスト、Twitter、YouTubeなどソーシャルメディアを積極的に活用している。以前から「医療情報配信サイト」として注目された「メディカルエッジ」の他に、最近、ソーシャルメディア向けプラットフォームとして「Sharing.mayoclinic.org」を新たに開設したようだ。このことによって、いかに低コストで効果的な社会とのコミュニケーションを生み出すことができるかなど、このスライドでは具体的な例が多くわかりやすい。とりわけ次のフレーズが印象に残った。

Don’t pitch the media
Be the media


日本の医療機関にも非常に役立つスライドだと思うが、とにかくこのような発想が、日本の医療界にはそもそも存在しないように思われるのが残念だ。そう言えば当方は、数年前、日本の最大手医療機関に、メイヨークリニックをモデルとしたコミュニケーション活動戦略を提案したことがある。幸い提案は首尾よく採用されたのだが、結局、実施へ向かう過程でフェイドアウトの憂き目に会った。その時、痛感させられたのは、たとえば「約束を守る」とか、応分の「責任を取る」とか、そんなビジネスの基本的なルールが日本の医療界では共有されていないということだ。これでは、何か先進的なプロジェクトを進めることは不可能に違いない。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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