PHR:医療現場での利用イメージ


(Microsoft Surface Demo for Patient Consultation (Interface by Infusion)

先日エントリでHealthVaultの家庭における利用イメージビデオを紹介したが、なぜかYouTubeから削除されてしまったようだ。その代わりと言っては何だが、PHRのもう一つの重要な利用シーンである医療現場における利用イメージを、やはりHealthVaultの紹介ビデオで見ておこう。

HealthVaultの医療現場での利用のために、マイクロソフトは「MS Surface」というアプリケーションを開発しているようだ。このビデオは医療現場で、この「Surface」を介して、医療者と患者がどのようにPHRの情報を利用できるかを紹介している。注目されるのはデスク上に平面設置されたディスプレイである。通常の縦置きディスプレイでは、医療者と患者の視線は平行で交わることがない。だがこのような平面設置ディスプレイなら、常に相手の視線を捉えながら、双方のコミュニケーションが可能となる。また、IDカードを画面上において読み取れるなど、操作性も良さそうだ。このSuefaceは、すでにテキサス州の医療機関”Texas Health Resources”で稼働しているとのことである。
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バーティカル検索エンジン「TOBYO事典」

Gyoen_SAKURA

今週の新宿御苑は花見客で人出がすごい。週末など、朝早くからすでに入場門周辺には行列が出来ている。今日のような天気の良い日のお昼は、御苑の芝生に寝っ転がって空を見上げたいところだが、とにかく人が多すぎて落ち着かない。

さて、昨年から検索エンジンを開発してきているが、ずいぶん予定が遅れてしまった。1月10日にブログ検索をテスト公開して以来、クローリングのカバー率の改善に取り組んでいたが、一進一退、遅々として進まず、試行錯誤の末にようやく目標とする段階に近づきつつある。当面の目標は「1万人の闘病体験の全文検索」を文字通り実現することであったが、TOBYO全体の収録サイト数が増えたこともあり、なんとか実現まであと少し。

思えばちょうど1年前、3分咲きの新宿御苑の桜を見ながら思いついたのが、「ネット上に、闘病者の自発性に基づき、自然発生的に作られる「闘病ネットワーク圏」(闘病ユニバース)」というビジョンだった。このビジョンを持つことによって、TOBYOプロジェクトの方向性は固まった。そして自前の検索エンジン開発は、もちろん弱小ベンチャーにとってかなり難易度の高い仕事であったが、とにかくこれを実現できなければ「闘病ユニバース」に蓄積された膨大な闘病体験を活用することはできないのである。その意味で、後には引けない仕事だった。 続きを読む

未来医療とPHR

このブログでは、おそらく日本で最も早く海外のPHRの動向を取り上げ、その意味を考察してきたと思う。そしてこの二年ばかりの間に、HealthVault、GoogleHealth、DOSSIAなど大規模PHRが登場してきたのだが、ではこれらが、未来の医療システムに一体何を持ち込むのかということについては、まだ不透明な部分が多い。だが、ここ二年ばかりの動きを注意深く観察してみると、PHR進化の道筋に沿って前方へと視線を投じることによって、未来の医療の姿形がおぼろげに透視できるような気がする。 続きを読む

PHR: MS「Health Vault」の利用イメージ

MS「Health Vault」の使用イメージ

マイクロソフトのPHR「Health Vault」は、Google Healthよりも約半年早く、一昨年秋にリリースされた。その後の両者の競争状況を見ると、Health Vaultがやや優位に立っているのではないかと評されることが多い。だが、一般消費者には両者の差異は分かりづらく、「結局、大差ない似たようなシステムではないのか」と疑問を呈するブロガーまで出てきている。

独自性の明確化と差別化が求められているのだが、その意味もあってか、マイクロソフトはHealth Vaultのプロモーションビデをいくつか発表している。上のビデオは、そのうちの「Health Vault in Action」と題された一本。実際に家庭で、どのようにHealth Vaultが使われるのかをわかりやすく見せている。血糖値、血圧などの家庭用計測デバイスとHealth Vaultが連携する様子がよく分かる。PHRのデータ取り込みについては、どうしても医療機関側のEMRやEHR経由を想起しがちだが、糖尿病、高血圧症といった慢性疾患では家庭用計測デバイスが活躍する。ビデオでは、いずれのデバイスもワイヤレスでPCと交信しているが、このあたりちょっとしたことなのだが、使用感は格段に違うと思う。
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経済危機による精神疾患リスク

SAMHSA

4月1日ワシントンポストによれば、米国政府のHHS(保健社会福祉省)は、今回の未曾有の経済危機プレッシャーによる米国社会の精神疾患増大に備え、ウェブで市民へ警告と情報提供を始めた。これはHHSのSAMSHA(薬物乱用・精神衛生管理庁)が運営するサイトに設けられたコーナーで、経済危機によってもたらされるリスクの警告、ストレス管理の方法、支援リソース、自殺徴候などについて市民に注意を促すものである。HHSがこのような精神疾患増大に対する警告キャンペーンをおこなうのは過去二回あり、一回目は2001年の同時多発テロ事件直後、二回目は2005年のハリケーン「カトリーナ」直後で、今回が三回目となる。 続きを読む