対話型ドキュメントと独白型ドキュメント

MedHelp

9日火曜日、米国のナンバーワン医療ポータルのWebMDがコミュニティベースの医療情報共有サービス“Health Exchange”を公開した。これまでいわゆる「Health1.0」の代表格と目されてきたあのWebMDが、まさに2.0的なUGCサービスを開始することに対し注目が集まっている。

ところでこの”Health Exchange”が想定している競争相手は、患者コミュニティ最大手のMedHelpだろうといわれている。MedHelpは15年前に創設された最古の患者コミュニティであり、現在では月間訪問者数950万人、収録投稿数430万ページを擁する文字通り全米最大の患者コミュニティに成長している。だが当然、WebMDはMedHelpを研究しつくしているだろうから、今後どのような新機軸を投入してくるかが注目される。 続きを読む

「評論家」や「啓蒙家」を超えて行け

critic

今日、TOBYO収録の闘病サイト件数は2万件を超えた。二年前、2千件でスタートしたときには、まさか2万件も収録することになろうとは思ってもみなかった。だが決して平坦な道を一目散に疾走してきたわけではない。実はこの間、何度も逡巡を繰り返してきた。「量的拡大だけで良いのか」という問が常にあったからだ。しかし、やがて「ネット上のすべての闘病体験を可視化する」とのプロジェクトミッションが出来上がり、さらに「コアデータに基づく事業化」という事業戦略が明確になってみると、以前のさまざまな逡巡は徐々に吹っ切れたわけだ。

「量から質へ」などと方向転換についてこのブログで書いたこともあった。だが、やはり十分な量の確保がなければ、質だけを抽出することは現実問題として不可能である。このことは直接「闘病ドキュメントの評価方法」の問題に関わってくるのだが、「なるだけクオリティの高いものを選び出したい」と思う反面、自分たちが選考するよりもユーザーに委ねるべきだとも思えた。何度も、このような相矛盾する観点の間を往復し逡巡していたわけだ。 続きを読む

パーソナル医療

23andme_0911

先日の朝日新聞に「痛風の原因、遺伝子の変異」との記事があった。

チームが見つけたのは、腎臓や腸管から尿酸を体外へ排出する働きをもつと考えられる「ABCG2」という遺伝子。この遺伝子の配列のうち、尿酸が排出されにくくなる変異を5か所突き止めた。
痛風患者をl含む尿酸値の高い人と正常値の人頚1千人以上の男性を対象に、変異の様子を調査。五つの変異のうち重要な変異は2か所で、患者の8割がどちらかの変異を持っていた。
変異の組み合わせによって、尿酸の排出機能が4分の1以下に減る患者が1割おり、まったく変異を持たない人よりも26倍痛風になりやすいことも分かった。

もうかれこれ20年ばかり痛風と闘ってきた当方にとって、これは驚くべき情報である。これまで痛風の原因ははっきりせず、とにかく節制と薬剤服用で発作を抑えながら、長く病気と付き合うしかなかった。それが、まさか遺伝子変異が原因だとは思いもしなかった。でもメカニズムが分かったとはいえ、まだ根治方法はないのである。これでは依然としてビールを安心してたらふく飲めないではないか。(それでも結構飲んでるが・・・・) 続きを読む

ソーシャルメディア革命


今日のソーシャルメディアの隆盛ぶりがダイレクトに伝わってくるビデオだ。サウンドトラックも、映像のつくりも良い。良くできたビデオだ。だが、それでもなんとなく食傷感が強い。それはなぜなのかと考えてみた。

“Social Media isn’t a fad”ということはわかったが、では本当に”it’s a fundamental shift in how we communicate.”ということになるのだろうかと、へそ曲がりなツッコミの一つも入れたくなる。これについてたとえばJohn Battelle氏は、「ソーシャルメディアは、われわれがコミュニケーションする方法のシフトを意味するのではない。それは、われわれのコミュニケーション能力における階段関数なのだ」と評している。なるほど。 続きを読む

NHS Evidence: 確かなエビデンスとベスト・プラクティスの検索サイト

NHS_Evidence

先月30日、英国NHS(国民医療サービス)のNational Institute for Health and Clinical Excellence (NICE) は、医療と保健のプロフェッショナルを対象とする検索サイト「NHS Evidence」を起動した。このプロジェクトは、昨年6月にLord Darzi保健相がレポート「すべての人に高品質医療を」で発表した構想の一環であり、医療プロフェッショナル達に、整理され、ふるいにかけられ、優先順位づけられた、最良で包括的なエビデンスとベスト・プラクティス情報を提供しようというもの。 続きを読む