雨のdimensions

dimensions_logo_mark

なんだか昔の歌謡曲みたいなエントリタイトルだが、終日雨。雨の中をミーティングに出かけたが、雨のためでもないだろうが道を間違え右往左往。目的地に遅れて到着。失礼。

dimensionsについてディスカッションをおこなったが、いくつか重要な「気づき」をいただいた。dimensionsでは病名ごとに闘病ドキュメントを薬品、治療法、機器、医療機関の四つの次元に分けて分類しているが、これではある意味、患者体験の全体像が分解寸断されていることになる。つまり、患者体験の連続した全体像をコンパクトに再構成する必要があることに気付かされたのだ。感謝。

ではこれをどうやって実現するかだが、dimensionsの基本仕様は変えずに、オプションメニューとして追加することになる。具体的にはオーダーを受けてターゲット病名を決め、限定した病名のデータだけを対象に二次加工をおこなう。データ処理だが、エントリ日付から時間軸を構成し、すべての次元のマーカー(キイワード)をマッピングしていくようなことになるだろう。大雑把だがそんなイメージだ。今後、細かく詰めていく。 続きを読む

機は熟した。ソーシャル・メディア・マーケティング。

dimensions_tag_cloud

連休も終わり、今日からまたいつもどおり街は動き始めた。当方、仕事をしながら中途半端に休んだので、連休明け早々、なんだか疲れが出てきたような気がする。細野さんや岡本太郎からエネルギーはもらったのだが、週明けからミーティングの予定が狂ったりもして、調子よくない。今日など、帰ってワインなど飲んでぐっすり睡眠を取りたいところ。

ここのところ、やはりdimensionsに力を入れて取り組んでいる。一方ではバグフィックスなどシステム修正の山をこなさなければならないのだが、やはりこのサービスに関してどんなパーセプションを作り上げるかということが問題だ。そしてソーシャル・メディアの時代というフォローの風を生かしつつ、どう「リサーチ・イノベーション」へつないでいくかも重要だ。「リサーチ・イノベーション」については、2月にこのブログにポストした三篇の論考エントリが理論的支柱になるだろう。

一方、先月、広告業界では電通が「ソーシャルメディアを活用したマーケティング分野のソリューション開発」として「ソーシャルメディア上の声を『傾聴』し、企業のマーケティング戦略に活用する『ソーシャルリスニング』のソリューション手法=Sora-lis」を発表し、博報堂グループはソーシャル・メディアをテーマとするグループ横断組織「博報堂DYグループ・ソーシャルメディア・マーケティングセンター」を発足させた。
続きを読む

dimensionsと今後のビジョン

TOBYO_vision

新緑の季節となった。石神井公園では菖蒲の葉があちこちでぴんぴんと元気よく伸びている。

dioensionsの7月サービスインへ向け準備をしているが、やっと今月からデモンストレーションが可能となり、ご協力してくださる皆さん方に試用をお願いしている。まだ未整備部分も多々あり、これからバグフィックスと改善に力を入れていかなければならない。同時に前回エントリで少し触れたように、TOBYOプロジェクトのビジョン再構築にも想いをめぐらしている。

上図のように、今後のTOBYOプロジェクトはTOBYO本体とdimensionsに加え、闘病者調査パネルを創造する方向へ向かう。三極構造としてプロジェクト全体を構想することによって、TOBYO本体とdimensionsの位置づけと役割が一層明確になると思う。特にdimensionsについては、ファクト・ファインディング・ツールと位置づけを限定することによって、他の外部パートナーのサービスとの連携や接続を重視していきたい。多様なビジネス・スキームに柔軟に対応できるようにしたい。

実際にはdimensionsは調査仮説や製品開発コンセプト仮説など、たとえば仮説構築のための支援ツール、あるいは定常的な消費オーディット・ツールという使い方が想定される。つまりdimensionsは、関連事実を素材収集しそこからアイデアや気づきを効率よく得るためのツールであり、また患者の闘病現場で何が起きているかを把握するためのツールである。

このようにdimensionsは単独ですべての調査活動を網羅するものではない。いわばさまざまな調査に先立つ、プレ・ツールのようなものを想起していただけたらと思う。もちろん闘病体験データを大量に出力することもできるが、それらを集計分析しインサイト・レポート等にまとめて報告する役割は、外部の協力パートナーにお願いしたい。 続きを読む

TOBYOプロジェクトのビジョン再考

 Shijuku_Sky110419

前回エントリで日本の「失われた20年」について触れた。たまたま読んだ「郵便的不安たちβ」(東浩紀、河出文庫)の冒頭「状況論」に80年代-90年代を総括する優れた評論があり、なるほど「失われた20年」は「バブルの80年代」の検討抜きには理解しがたいのかも知れないと気づいた。思い返せば、80年代という時代はポストモダニストと企業戦士が並び立つような奇妙な時代であった。「ニューアカ」と呼ばれた現代思想ブームと「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が矛盾せずに並立するような時代であった。この中で無邪気に「世界の先端を行くポストモダン社会=日本」という論陣が張られたが、今にして思えば、これらは古い「日本システム」を無批判に肯定する方向をもっていたのではないか。ポストモダニストも企業戦士もいつの間にか姿を消したが、無批判に「日本」を称揚する変奏曲は、さまざまに趣向を変えながらその後も反復されている。

ところで「郵便的不安たちβ」という評論集だが、この表題の「郵便的」という言葉に何か強く惹かれるものがある。たとえばネット上の闘病ドキュメントであるが、これも遠くの見知らぬ人にあてた郵便のようなものかも知れない。それが誰かのもとに届けられ、そして読まれるかどうかはわからないが、確かに自分の体験をネットに公開するという行為は、どこか郵便的な行為と似ている。そう考えると、TOBYOの役割はさしずめ郵便局ということになるだろう。ネット上に投函された郵便を、それを必要とする誰かのもとに確実に届けるために、効率よく仕分け整理分類することがTOBYOの役割と言えるだろう。

続きを読む

米国Health2.0サイトにTOBYOデモのビデオが登場

TOBYO_demo2010SF

4月になり桜もようやく満開へ。今週末が見頃か。それにしても寒い日が続く。地震後、世の中全体がシュリンクした感があるが、それでも少しづつ日常が戻ってきている。しかし、原発事故の行方はいまだに視界不良。過度の楽観論も悲観論も要らないから、ただ事実と、それが示す今後のありうべき可能性だけを冷静に公開してもらいたい。

当方の協力プログラマが被災地病院のサーバ修理に出向いたりと、TOBYOプロジェクトにとっても地震の影響は少なからずあったが、年初から着手してきたdimensions開発仕上げも一段落。まだバグフィックスや運用管理ツールなどを残しているのだが、立ちはだかっていた諸課題はクリアされ、基本機能をひととおりデモすることができるようになった。やれやれであるが、当初予定から相当遅れてしまった。実質的なサービスインは7月頃からとなる見込みだ。

ところで久しぶりに米国Health2.0サイトをのぞいてみたら、昨年10月サンフランシスコ・カンファレンスにおけるTOBYOデモのビデオ  がアップされていた。これは主催者側が撮った公式ビデオである。これを今見るとつい半年前のことであるのに、何か大昔の出来事のように思え、妙な懐かしささえ感じられた。プレゼンターはメディカルインサイトの鈴木さん。しっかり見事なプレゼンをしてもらった。不幸にして年末に袂を分ったが、結局、「縁がなかった」ということか。これも遠い過去の出来事のような気がする。 続きを読む