画一性の番人

昨夜、たまたまNHK「医療再建」を見た。医師不足、研修医制度、診療科目の自由標榜など、「医療崩壊」と総称されているさまざまな問題を取り上げていた。だが番組が進むにつれ、当方の番組への興味関心は薄れる一方で、むなしく隙間風がスタジオに吹く音さえ聞こえるようであった。役人、医師会、医療者、研修医、患者など、関係者が一堂に会して口々に意見を表明しているのだが、それらは焦点を欠き、まるで自分たちの立場を一方的に言いつのるだけで満足しているかに見えた。

短く言ってしまえば、医療の需要に対し供給が十分に対応出来ていないのが日本医療の現状なのだが、これを「医療崩壊」などと言ってしまうとかえって問題は見えなくなる。そんなふうに過度にセンセーショナルな言い方をする必要はなく、単に有限の医療資源をどのように効率的に社会に配分するかという問題である。そして、厚労省の資源配分に関わる需給予測と計画がこれまで一貫して失敗してきたから、現下の困難があるのだということが、すべての議論の出発点になるはずだ。日本医療は計画経済で完全にコントロールされているのであり、その責任は計画の立案と実行に携わる者がすべて負うべきである。まず、そこをはっきりさせなければならない。 続きを読む

シジフォスの神話

Sisuphe2

今日、米国の医療関連ニュースサイトを見ていたら、ある大学研究者が発表した「がん患者の患者SNS別生存率」調査が報じられていた。これには驚いた。まだ詳しく見ていないのだが非常に興味深い。これからの患者SNSというものは、会員患者の生存率を上げるための努力も必要になるのか。その上、ユーザー満足度など評価データも公開するようになるかもしれない。そうすると、いずれ「患者SNSのレーティング」という新手のサービスも出てきそうだ。 続きを読む

祝600エントリ!祝ブログ二周年!

Another_World

このブログも今週(12月18日)で二周年を迎え、このエントリが600本目となる。特にこれという感慨もない。国内には新しい医療インターネット情報サービスについての情報が少ないので、海外ブログを大量に読み、あれこれ考え、自分のメモとして書き続けてきただけである。このように書き散らかしてきた雑文が、もし少しでも誰かの参考にしていただけるとしたら、少しは喜んでもよいのだろう。しかし、そのあたりは漠として掴みがたい。 続きを読む

時代は変わる: The Times They Are a-Changin’

bob_dylan

みんな集まってあたりを見回してみろ
周囲の水が嵩を増してくるのがわかるだろう
もうすぐ骨の髄までびしょ濡れさ、わかるだろう
時間を無駄遣いしたくないなら、すぐに泳ぎ出した方がいいぜ
さもないと、石のように沈んでしまう
時代は変わりはじめたから
(「時代は変わる」ボブ・ディラン)

今日も東京は快晴。窓から富士がくっきり見える。久しぶりに広告会社時代の先輩とランチをしながら、あれこれ語り合った。なぜだか先輩は元気がないように見受けられた。思い当たることは一つしかない。広告業界の惨状である。だが、あえてその話題には触れずに、当方のTOBYO進行状況やネット関連の方へ話を向けた。 続きを読む

12月の雨の日

水の匂いが眩しい通りに
雨に憑かれた人が行き交う
雨上がりの街に風がふいに起こる
流れる人波をぼくは見ている
(はっぴいえんど「12月の雨の日」松本隆作詞)

窓ごしに雨の新宿の街を見ていると、ふいに遠い記憶からこの歌が思い出された。師走というあわただしい時が駆け抜ける街で、この歌が描き出すのはむしろ妙に静謐な街の佇まいである。そのきわだった対照ゆえに記憶に残っているのかもしれない。

検索エンジン開発は、いろいろな障害を一つ一つ乗り越えて進行中。なんとか15日には公開したい。当面はこれまでテスト運用してきたものと同様の検索機能になるが、いずれ、もう少し違ったかたちで検索機能を提供することも考えている。闘病ネットワーク圏の可視化の方法については、さまざまに多様な可能性があるからだ。たとえば検索対象を特定の病名闘病サイトだけに絞り可変的に選択できるようにすれば、ユーザーはより一層情報を扱いやすくなるだろう。いずれにせよ、特定ワードを探し出すだけでは不十分だと考えている。 続きを読む