シジフォスの神話

Sisuphe2

今日、米国の医療関連ニュースサイトを見ていたら、ある大学研究者が発表した「がん患者の患者SNS別生存率」調査が報じられていた。これには驚いた。まだ詳しく見ていないのだが非常に興味深い。これからの患者SNSというものは、会員患者の生存率を上げるための努力も必要になるのか。その上、ユーザー満足度など評価データも公開するようになるかもしれない。そうすると、いずれ「患者SNSのレーティング」という新手のサービスも出てきそうだ。

だがよく考えてみると、やはり「患者の生存率」には、まず医療機関や医療者の存在が決定的に重要なはずだ。単に、その患者が属している患者SNSと生存率を結びつけるのは、少し飛躍があり過ぎかも。またアウトカム・データ関係の話になると、いつも出てくるのが患者の重篤度の補正という問題だ。これを高度な統計的処理で行うノウハウも、レーティング会社などでは蓄積されてきているのだが、今度はあまりにも専門的すぎて一般ユーザが使えないデータになってしまう。つまり「医療評価」とは、どこまで行ってもきりのないシジフォス(シシュポス)的テーマなのだ。

シジフォス的といえば、現在、最終の追い込みにかかっている検索エンジン「TOBYO事典」開発も、ある意味そんな側面がある。これも言い始めるときりがないのだが、「ここを徹底的にやっていくと、あっちがこうなってしまう」みたいなことが起こり、一筋縄にはいかない。だが、とにかく今年中にやってしまわなければお正月は来ないのだ。シジフォスの気持ちが分かる年末である。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


シジフォスの神話” への1件のコメント

  1.  古典的には高額所得者層と低所得者層の健康格差、高学歴と低学歴者の間での健康格差など・・は明らかになっていますし、白人>黒人>ヒスパニック・・・といった所得格差による寿命格差も明らかになっています。

     SNSごとに囲い込みしている会員の背景が異なるので、そういう風に出たのではないでしょうか?アメリカではその前に最下層の貧困層よりも少し収入が多いが「健康保険」に加入できない方の無保険者の問題がよっぽど問題でしょうね。

    アメリカ人の平均寿命が過去最長に。ただし世界ランクは30位以下
    http://www.medicalnews.jp/index.php?itemid=44

    アメリカ:格差社会で心臓発作後の寿命まで左右されている
    http://www.medicalnews.jp/?itemid=985

    アメリカ:無保険者はつらいよ。癌の治療に影響がでる
    http://www.medicalnews.jp/index.php?itemid=589
     

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