TOBYO_dfc (direct from consumer)

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街中がサウナになってしまったかのような猛烈な蒸し暑さだ。地面から水蒸気が立ち上っているのが見えるような気さえする。だが、新宿御苑の近辺まで来ると爽やかな冷気が吹いてきて、都心にあって「森の力」を実感したりする。こんな季節になると、とにかく美味しそうに冷えたビールがやたらと恋しくなるが、目下当方、慢性疾患(痛風)改善へ向け生活スタイルを変えているところであり、「常にビールのある生活」も遠のいてしまい残念。

さて、「闘病者の声をダイレクトに伝える、新しいWebアプリケーション」として開発を進めている「TOBYO_dfc」だが、ようやく仕様が最終的にかたまり、この夏中にはアルファ版を完成させてしまいたい。およそのスケジュールとしては、10月頃から年内いっぱいはアルファ版のテスト運用期間とし、来年早々には本稼働に持っていくようなイメージを描いている。 続きを読む

政府の「どこでもMY病院」構想とは?

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先のエントリでマイクロソフト社のPHR「HealthVault」の国際戦略を取り上げたが、国内では去る5月11日、政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)の「新たな情報通信技術戦略」において「どこでもMY病院」構想が、続いて6月22日にはその「工程表」が発表されている。

この1年を振り返ると、政権交代によってIT戦略本部の取り組み方に微妙な変化がある。昨年6月30日発表の「i-Japan 戦略 2015」(IT 戦略の今後の在り方に関する専門調査会)では「三大重点分野」を次のように提起していた。

①電子政府・電子自治体分野
②医療・健康分野
③教育・人財分野

これに対し、今回の「新たな情報通信技術戦略」における重点分野は「3つの柱と目標」として次のように変えられている。

1.国民本位の電子行政の実現
2.地域の絆の再生
3.新市場の創出と国際展開

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マイクロソフト社PHR「Health Vault」がイギリスへ進出

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6月22日、マイクロソフト社は同社PHR「HealthVault」をイギリスで展開すると発表した。今回のHealthVault進出は、当面、英国同社サイト「MSN Wellness Center」 を通じた限定的な機能提供になるようだ。すでにHealthVaultはカナダとドイツに進出しているが、これらのケースでは戦略パートナーとしてTelus社やシーメンス社と組み、両社を通じたスームズな市場参入をマイクロソフト社はめざしてきた。PHR国際戦略における最大の難関は、各国における医療制度、医療文化の違いである。マイクロソフト社は、この難関を地元有力企業との戦略パートナーシップによって乗り越えようとしており、これは極めて理にかなった戦略と言えるだろう。

イギリスの場合も、地元企業Nuffield Healthとの提携を発表してはいるが、いささかカナダやドイツのケースとちがうのはその「提携」が多分に限定的である点だ。これはマイクロソフト社にとっての「世界最大の顧客」である英国NHS(国民健康保険)への配慮からだろうと言われている。NHSは英国国民けに無料PHRサービス「HealthSpace」を提供しており、マイクロソフト社はこれとHealthVaultが直接競合する事態を避けたかったようだ。 続きを読む

病院ロボットの時代


英スコットランドの”Forth Valley Royal Hospital”で、英国初の病院ロボットが導入されることになった。8月の同病院オープンに備え、現在、ロボットのテスト稼働がおこなわれている。当面は地下室で各病棟との荷物のやりとりに使われるが、いずれは病室や手術室の清掃、さらに医療資材や薬剤の仕分け・配送などにも使われる予定らしい。院内感染リスクと人的コストを下げる効果が期待されている。

ロボットやナノマシンのような先端テクノロジーの医療への導入は、「医工連携」の掛け声のもとにどんどん進んでいる。これらがアウトカムなど医療品質の向上やコストダウンなど、具体的に目に見える成果につながってほしいものだ。

だがこのビデオを見る限り、あまり高度な「ロボット」ではないようだ。これでは自走式フォークリフトにしか見えず、ガッカリしてしまう。「アトム」はまだか?

「アトムの子」三宅 啓  INITIATIVE INC.

Gov2.0と公共医療データオープン化の進展

HHS_Gov2.0

(HHS米国保健社会福祉省の公共医療データオープン化概念図)

先月、米国ワシントンDCで「Gov2.0 Expo」が開催されたが、米国政府が持つ公共医療データなどを民間で自由に活用する機運が生まれている。このGov2.0ムーブメントは、Web2.0の提唱者であるティム・オライリー氏が中心となって米国政府を巻き込む形で進められているが、「Gov2.0 Expo」でオライリー氏自身は次のようにGov2.0を語っている。

政府はこれまでの形態を変え、政府自体がプラットフォームにならなければいけない。

今までの政府は「自動販売機」のようなものだった。市民がお金を払うことでサービスを享受するイメージ。しかし、Gov 2.0は政府が“enabler”(実現する人・もの・要因)になる必要がある。

Appleは自ら“enabler”になり、AppStoreというプラットフォームを立ち上げたことで、20万個以上のアプリがリリースされた。20万個のアプリの中でAppleが作ったアプリは20個以下だ。

天候の情報は政府が公式に提供しているから、その情報を加工してテレビ局やウェブが天気予報を独自に作ることができる。そういう発想がGov 2.0そのものだ。

義務教育やマーシャル・プラン、レーガンのGPS技術を導入など、過去に実現された偉大な政策を振り返ってみると、いつも大胆な発想の転換が求められてきた。偉大な政策を達成するには時間がかかるし、大胆でなければいけない。勇気が必要になるのだ。

現在の米国は、温暖化問題や医療改革、教育問題など様々な問題を抱えている。そうした問題に対処するには「今あるシステムをアップグレードする」という発想を捨てて、一から作るという発想が必要になる。Gov 2.0もそういうものだ。
BLOGOS、津田大介氏特別寄稿「Gov 2.0 Expo」速報レポート2日目

公開された公共医療データに基づいて、さまざまなアプリケーションやサービスが登場しつつあるが、「Gov2.0 Expo」ではIOM(国立衛生研究所)の「Pillbox」 が紹介された。 続きを読む