さまざまなHealth2.0論

BusinessWeek0812

先週、12月4日付けのBusinessWeekの記事「Health 2.0: Patients as Partners」  で、かなり大きくHealth2.0が取り上げられた。Health2.0はすでにニッチなトレンドではなく、社会的な広がりと小さくない影響力を持つムーブメントとして認知されつつあることを、この記事は物語っているだろう。記事のクオリティも高いので、Health2.0に関心を持つ者は必見である。

ところで、スコット・シュリーブがブログエントリ「Short Selling: Why the Long View is Critical for Health 2.0」 でこの記事を批判をしている。BusinessWeek記事が、SNSだけに焦点を絞ってHealth2.0を語っていることに対する、彼独特の苛立ちがこのエントリを読んでわかった。そう言えば、この「定義」関連の問題をめぐって、二年前から様々な論客とスコット・シュリーブとの間で論争があったことが思い出される。 続きを読む

CBSイブニングニュースに患者SNS「PatientsLikeMe」が登場


先週、12月4日の米国CBSイブニングニュースで患者SNSのPatientsLikeMeが紹介された。

難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)にかかった老婦人シェイラ・エンゲダールのエピソードからはじまるこのニュースには、PatientsLikeMeの創業者であるジェームズとベンジャミンのヘイウッド兄弟が登場し、このユニークな患者SNSの概要と生い立ちを説明している。ヘイウッド兄弟にはもう一人の兄弟ステファン・ヘイウッドがいたが、29歳の時ALSに罹患した。ステファンの命を救うためにジェームズとベンジャミンは研究を開始し、そしてPatientsLikeMeをローンチしたのである。ステファンは2年前に亡くなったが、PatientsLikeMeには彼のページが全医療記録と共に残され、今でもPatientsLikeMe会員に公開され利用されているという。 続きを読む

「?」を「!」へ変える

本日(12月6日)朝日新聞朝刊「be」の「てくの生活入門」欄に、「闘病記の共有サイトを知る」として、TOBYO、オンライフ、ライフパレット、シェアーズなどが紹介された。今年、ネット医療情報サービスの分野では、これら4サイトに代表される従来にない新しいHealth2.0タイプのサービスが登場した。

まだこれから立ち上げを準備しているプロジェクトもあるだろうが、これらの新しい動きが、きっと日本の医療を消費者参加型医療へと変えていくと思う。記事には「ネットで変わる?患者目線のサイト続々」とのキャプションがふられているが、この「」を「」に変え、「ネットで変わる!」と確信を持って言う時代が来ているのだ。消費者をエンパワーすることによってのみ医療は変わる。そのためにネットで消費者の知識と体験を活用していこう。そんな元気が出てくる記事である。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

DailyStrengthの蹉跌と患者コミュニティの洞察

DailyStrength0812

12月4日TechCrunchで、米国の代表的患者SNSの一つ「DailyStrength」が行き詰まり、HSW Internationaに買収されることが取り上げられていた。DailyStrengthは2006年春、Health2.0企業の中では比較的早期に立ちあげられ、500を超える患者コミュニティを擁する本格的な患者SNSサービスとして期待されていた。しかし、「DailyStrengthの月間ユニークビジター数は多い時でも70万人どまりだった」(TechCrunch)と伝えられており、集客が思うように進まなかったようである。

まだ詳細が分からないのだが、最も成功している患者SNSとされる「PatientsLikeMe」などと比較すると、どうも「500を超えるコミュニティ」というところに問題がありそうに思える。そう言えば、以前、DailyStrengthについて「患者SNSの場合、コミュニティが細分化されていくと1コミュニティあたりの参加ユーザー数は少数になり、コミュニティ自体の運動量の増加を妨げることにつながる」との指摘をどこかのブログで読んだ記憶がある。そのブログでは、DailyStrengthのコミュニティメンバーが書くエントリに対する閲読数やコメント数が、一般の汎用SNSなどと比べ桁違いに少ない点を指摘していたと思う。 続きを読む

バーティカル検索エンジン「TOBYO事典」正式公開延期のお知らせ

目下、闘病記だけを検索対象とする初のバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」の開発を進めているが、予定していた12月1日正式公開は12月15日へ延期することになった。その代わりと言ってはなんだが、本日から、これまでテスト運用してきた「TOBYO事典」の全文検索対象サイト数を、暫定的に2061サイトに拡張したのでお試しいただきたい。15日にリリースする正式公開版は、TOBYO収録の1万を越える全サイトを検索対象にする。

約1万件にのぼる闘病サイトのインデクシング作業は先月すでに終了しており、これは全部で約100万ページに達する。ただ検索エンジン自体の最終調整が予想以上に手間取ったために、余儀なく公開延期せざるをえなくなった。 続きを読む