CBSイブニングニュースに患者SNS「PatientsLikeMe」が登場


先週、12月4日の米国CBSイブニングニュースで患者SNSのPatientsLikeMeが紹介された。

難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)にかかった老婦人シェイラ・エンゲダールのエピソードからはじまるこのニュースには、PatientsLikeMeの創業者であるジェームズとベンジャミンのヘイウッド兄弟が登場し、このユニークな患者SNSの概要と生い立ちを説明している。ヘイウッド兄弟にはもう一人の兄弟ステファン・ヘイウッドがいたが、29歳の時ALSに罹患した。ステファンの命を救うためにジェームズとベンジャミンは研究を開始し、そしてPatientsLikeMeをローンチしたのである。ステファンは2年前に亡くなったが、PatientsLikeMeには彼のページが全医療記録と共に残され、今でもPatientsLikeMe会員に公開され利用されているという。

「社会通念では、ドクターや医療プロフェッショナルが最も病気について知っていることになっている。だがシェイラ・エンゲダールのような患者は、難病と生きることがどういうことなのかを知っている。そして彼ら患者は体験を共有するだけでなく、また新しい治療方法の研究を推進させようともしているのだ。」

昨年、リチウム薬剤によって16人のALS患者に症状改善があったとの研究報告が公開された。このことがPatientsLikeMeの2800人のALS患者会員に伝えられるやいなや、すぐに患者たちはその薬剤を使用し始めたという。通常の治験であれば、実施体制作りに数年かかるところを、わずかほんの数日で稼働までもっていったのである。いかにPatientsLikeMeのコミュニティが、治験など研究開発にスピーディーに対応できるかを物語るエピソードである。

「数十万の患者の集合知は、実際に、どんな一人の人間よりも賢明である。どんなによく調査研究をした一人よりも。」(ヘイウッド兄弟)

患者の集合知が医学に実際に貢献する例を、私たちはPatientsLikeMeという全く新しい考え方のSNSに見ているのだ。それぞれの患者は「自分のため」でありながら、そのことが他者そして人類全体に貢献するという素晴らしい例を見ているのだ。このような患者の集合知の新しいありかたを活用するのがHealth2.0である。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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