レセプトオンライン化提訴って?

今朝未明、うつらうつらしながらラジオのニュースを聞いていると、アナウンサーが淡々と「レセプトオンライン化に医師グループが提訴」とのニュース読み上げているのに気がついた。「えっ?まさか。冗談だろ。夢でも見てるんだな」と思い直し眠りに戻った。だが、事務所へ出て半信半疑ながらネットで調べてみると、次のような記事があるではないか。

レセプトオンライン請求義務化は憲法違反 医師ら961人が提訴
産経ニュース 2009.1.21 21:48

厚生労働省による診療報酬明細書(レセプト)のオンライン請求義務化は、営業の自由などを侵害する憲法違反だとして、35都府県の医師や歯科医師961人が21日、国に対して、義務の不存在確認と1人あたり110万円の損害賠償を求める訴訟を横浜地裁に起こした。

レセプトのオンライン請求義務化は平成20年4月から段階的に実施されているが、23年からすべての医療機関で義務化される。原告らは、「オンラインでの請求には新たに専用のパソコンを導入する必要があり、100万~300万円の費用がかかるため対応できない。医療機関は診療報酬の請求ができなくなり、廃業に追い込まれる可能性もある」と主張。

また、情報漏洩(ろうえい)の危険性があるほか、法律による改正ではなく、省令改正で診療報酬請求権に制限を設けるのは違憲としている。

続きを読む

或るエピキュリアン闘病者の呟き

闘病サイトをチェックしていると、時に寸鉄人を刺す鋭い言葉に出会うことがあり、思わず引き込まれて読みふけることも少なくない。最近、たまたま出くわした肺がん患者のサイトには、医師から癌告知を受けた直後に次のような言葉が記されていた。 続きを読む

「安全、安心、安定」の内向的日本

今月10日にブログ検索(テスト版)を追加公開したTOBYO事典。おかげさまでユーザーの皆さんから大きな反響をいただいている。年末も正月もすっ飛ばし、狂気のような集中突破をはかった甲斐があるというものだ。だが、検索エンジン改良の仕事はこれからだ。当面はデータ取得量を増やすことから着手。

ところで昨年末から検索エンジンの仕事に取り組んでいる間に、世の中は、妙に内向的で保守的な言説があふれはじめているようだ。このことは「2009年、この国の希望」でもふれてあるが、その後も途切れる気配はない。だいたい、麻生首相が国会答弁などで、何回も繰り返してうなっている「安心、安全な日本」というフレーズだが、これこそまさに昨今の「内向保守志向」を凝縮したようなものである。 続きを読む

医療情報源としてのインターネット

che

日曜日(1月18日)は映画「チェ28歳の革命」を観るために、朝から妻と新宿へ出向いた。この映画、淡々と進行する抑制の利いたドキュメントタッチの作り方が気に入った。チェ・ゲバラは言わずと知れた「世界革命の時代」のイコンであるが、たしかに今の時点で彼とその時代を映像化するとすれば、このような撮り方しかないはずだ。彼を取り巻くドラマチックな「伝説」をではなく、日常を積み上げた「事実」を淡々と語るしかない。「世界革命」という物語が終わってしまったのだから。 続きを読む

医療情報の流動性とベンチャー

tower

寒い日が続く。乾燥し大気が澄んでいるせいか、富士がやけにくっきりと、手が届くような近さに見える。

さて昨日のエントリ「医療情報の流動性」だが、考えてみれば当方のTOBYOにしても、患者をはじめ闘病者の体験情報の流動性を高めフローを促進するためのツールと言えなくもない。従来、闘病体験は患者とその家族や知人周辺でしか共有されていなかった。闘病体験情報は特定の個人とその周辺に貼りついて固定化されていた。それがネットワークに配信されるようになると、それら情報は流動性を獲得し、個人を越えてフローし、社会全体で共有される可能性を持った。つまり個人的な体験がネットによって社会化されたのである。別の言い方をすれば、個人的な体験がパブリックな価値を持つようになったのだ。そしてTOBYOは、この社会化された闘病情報の流動性とそのパブリック価値をさらに高め、より多くの人に活用されるためのツールをめざしている。

あるいは医療提供側の医療情報フローが現状では十分でないために、患者体験のフローを通じて医療の可視化をはかるプロジェクトであるとも言える。本来なら昨日のレポートにもあるように、「患者と医療機関の間の医療情報フローとコミュニケーションの強化」をはかるべきなのだろうが、圧倒的に医療機関側が情報コントロール権を握っている日本の現状ではむつかしい。 続きを読む