見放された闘病者についての考察

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最近、ご自分の闘病サイトをTOBYOに登録されるユーザーさんが増えてきている。また、ご自分と同病の他の闘病サイトを探し出して、登録して下さるケースもある。少しづつではあるが、TOBYOにとってはありがたいことだ。しかし、そのようにユーザーから登録された闘病サイトであっても、一応のサイトチェックを実施しなければならない。健康食品等の偽装サイトを除外するためであるが、なかには難しい判断を迫られるケースがある。

最近のケースでは、がんの闘病者がご自分のサイトを登録されたのだが、チェックのためにサイトを拝見してみて深く思い悩んでしまった。この方の場合、正規の医療機関で治療を受けたのであるが、結局、複数の医療機関から「根治のためではなく、延命のための化学療法しかない」との宣告を受けたのである。無論、本人にはがんを根治したいという意欲はあるのだが、病院からこのような宣告をされてしまうことは医療から見放されたも同然である。そこでこの方が選択したのは、様々な代替医療、民間療法のたぐいを積極的に試してみることであった。 続きを読む

動き出した大規模PHR: Dossia

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昨日エントリで「二位三位連合」の追い上げに直面するWebMDの状況に触れたが、そう言えばWebMDは、大規模PHRであるあのDossiaコンソーシアムと提携を結んでいることを思い出した。Dossiaについてはこれまで何回も取り上げてきたが、Intel、ATT、Wal-Martをはじめ巨大企業が共同出資して立ち上げたPHRコンソーシアムである。これまでいろいろ紆余曲折を経てきたが、いよいよ本格稼働することが先月末にアナウンスされた。 続きを読む

競争激化する米国医療ポータル市場

EverydayHealth

10月3日付けNewYorkTimes で、スティーブ・ケース率いるRevolutionHealthが同じ医療ポータルサイトのEverydayHealthに吸収合併されたことが報じられた。夏以来、身売り話があちこちで囁かれていたRevolutionHealthだが、結局、医療ポータル分野における「二位、三位連合の誕生」という形に決着した。

吸収合併ということで、EverydayHealthを運営するWaterfront Media社がRevolutionHealth側のウェブサイトをはじめすべての資産を引受け、経営のリーダシップを握ることになる。合併にともなうRevolutionHealthの評価額はおよそ1億ドル。ちなみにサイト開発時の投資総額はおよそ5億ドルであった。 続きを読む

書評:「次世代マーケティングプラットーフォーム」湯川鶴章、ソフトバンククリエイティブ

読みごたえのある力作である。本書は当初「電通 vs Google」というテーマのもとに構想され、結局それは破棄され、かわって現テーマに変更されたのだがこれは正解であった。20世紀型マスメディアと広告業の今後の運命は、もはや誰が見てもはっきりしている。本書にも触れられているが、要するにそれはその衰退過程が「遅いか、早いか」というスピードと時期の問題に過ぎない。であるなら、そのことを今さらこと細かく検証するよりは、その次にどのようなサービスやシステムが登場するかを考察するほうが生産的である。 続きを読む

ウェブ闘病記の流儀

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マスコミ関係者から取材を受けたりする時に、必ず聞かれる質問は「ウェブ闘病記の信頼性」の問題である。そしてこの質問が発せられる時、いつもこれとペアで対比的なニュアンスを持って言及されるのは「患者会」である。つまり「ウェブの個人手記など信頼できないが、リアルの団体なら信用できる」と言わんばかりなのだ。このような予断がどうしてマスコミ関係者の間に多いのかは謎だが、ウェブに対する本能的な憎悪みたいな、何か寒々しい意図の気配さえそこには感じられるのである。 続きを読む