世界へ

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春先に出た海部美知さんの「パラダイス鎖国—忘れられた大国・日本」は多方面で話題になっているが、当方も一読し様々に考えるヒントをいただいた。しかし先週、ある席でTOBYOの今後の計画について、「当面、TOBYOのバーティカル検索対象を、全病名、闘病サイト5000、インデクシング100万ページへ持っていくことに注力したい」と説明したところ、「ではその後、世界へ出て行かれるのですね」とのお言葉を頂戴した。それは正直のところ、当方がまったく予期せぬ質問であった。では、なぜ予期していなかったのかと言えば、まさに当方自身が「パラダイス鎖国」の住人でありその発想に囚われていた、というほかない。 続きを読む

GoogleHealthの全機能を試してみる

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先日公開されたGoogle Health。その全機能を実際に試してみようと、「Google Health試乗会」がウェブスライドで公開された。スライドを作ったのはHealth2.0ムーブメントの仕掛け人Matthew Holt氏。スライドでは、Google Health上の文字が少し読みにくいかもしれないが、実際にGoogle Healthを試用する際の恰好のガイドとなるだろう。

闘病体験と固有名詞

先週、「固有名詞によって事実を可視化する」というエントリを書いたが、たまたまというべきか、その数日後、TOBYOも紹介された日経新聞記事の末尾は次のように結ばれていた。

「ただ、中には科学的根拠の乏しい健康食品の購入を呼び掛けたり、宗教の勧誘をしたりするものもある。病院や医師への評価が断定的に書かれ、トラブルになることも。ライフパレットは「病院名を記載しない」などのルールを設けて定期的にチェックし、ルール違反があれば執筆者に注意を促すという。」(日経新聞、6月1日)

ウェブを論評する場合に使用する常套句であり、いわば「お決まりの警告」と言えるだろう。常套句に頼るという無意識の発想も、そろそろ見直すべき時代になってきているのではないか。しかし、それはそれとして、「闘病記に病院名を記載しない」という「ルール」があることを、この記事で初めて知った。 続きを読む

患者SNSと燃え尽き症候群

「米国における唯一正真正銘の患者SNS」とか「最も成功した患者コミュニティ」などと称賛されるPatientLikeMeだが、調査報告書「オンライン患者コミュニティPatientLikeMeの内部における個人医療情報の共同利用:患者が他の患者のデータにアクセスすると何が起きるか?」が「Journal of Medical Internet Research」に発表され、大きな話題となっている。

PatientLikeMeが他の患者SNSと決定的に違うのは、他の患者SNSがどちらかといえばメンバー間の「穏やかな交流」を提供するのに対し、PatientLikeMeだけがメンバー間の徹底的な医療情報共有にこだわっている点であるだろう。また、PatientLikeMeはALSなどの難病をターゲットにしており、「治療方法が確立していない病気と闘う」ための強い目的意識を参加メンバーに求めている点も、他の患者SNSとは際立った違いといえよう。 続きを読む

アイデンティティの分散と集中、そして新しいサービス

最近のウェブ闘病記は当然ブログが中心になっているのだが、それらブログ闘病サイトを注意深く見ていると、一人の闘病者が複数のブログを所有しているケースが多いことに気づく。これには大きく、「A→B→C」とブログホスティングサービスを乗り換えていきながら過去ブログを残存させるケースと、同時に複数のブログを運営するケースとがあるようだ。ホスティングサービスを変えるのは、そのブログに使いたい機能がサポートされていなかったり、デザイン・テンプレートが貧弱である場合などが理由であるが、これまで書きためたコンテンツを持って「引っ越し」するよりは、これまでのコンテンツ資産を置いたまま、「身一つ」で新しいブログへ移るケースが圧倒的に多い。 続きを読む