書評:「ウェブ国産力」佐々木俊尚著、アスキー新書

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一昨年春の「グーグル、既存のビジネスを破壊する」( 文春新書)以来、この著者の著書は、出るたびに全部目を通してきた。しかし、まず最初から苦言を呈することになるが、どうしてこうも「書名」がダサイのだろうかと、いつも思うのである。この本も著者が「佐々木俊尚」でなければ、書名だけでパスしてしまうところだ。まして「日の丸ITが世界を制す」とのキャプションまで見てしまうと、書店店頭で手に取ることさえ恥ずかしくてできないではないか。少しは読者のことも考えて、意を尽くした書名ネーミングをしてもらいたいものだ。

とはいえ、中身はさすがプロのジャーナリストの仕事である。現場に足を運んでの取材は、現実に生起している「コト」を丹念に掘り起こし、いつもながら関係者の生きたボイスを多声的に編み上げて提示して見せてくれる。なおかつリアルタイムに生成されてくる事実を、時間軸上に配列して、その出自から意味を問い直す手際は鮮やかだ。 続きを読む